「シイ――?」


自分の席で、窓の外に降る雨を見ながら物思いにふけていた。

ブレザーが不必要になって、蒸し暑いような肌寒いような微妙な時期で。

雨の匂いがするなぁと思ったら、もう梅雨の季節に入っていた。



はぁああああ……。



「シイっっ!」

「………へ?」


ハッとして振り向くと、呆れた顔の羽鳥が頭をポリポリ掻いていた。


あたしまたボーっとしちゃった。



千秋とは、一週間は会ってない。

ううん、会えないんだよぉ。

あの日………図書室で言われた言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡ってるんだ……。