人間、好奇心には勝てないのだ。



「あ……っ」

「声出すなって」


扉にピタリと耳をくっつけて、あたしは身を潜めつつ息を殺した。


プチン、プチン……

ワイシャツのボタンをゆっくりと外すリアルな音が聞こえる。

ゴクリと、生唾を飲み込む。


川村 椎菜(カワムラシイナ)

高校2年生。

今、イケないことをしています。



「……そこだめ」

「その顔、やべぇ」


きゃあああああ――!

この人たち、学校で何ヤっちゃてんのよぉ。

っていうあたしも盗み聞きなんてイケないってわかってて何やってんのよ!



自分でツッコミを入れながらも、薄い壁一枚の向こうで“誰と誰が”“何を”しているかが気になってしまう。


ココは二階の渡り廊下を渡ったずっと奥にある元・資料室。

あたしの学校には、誰も近づこうとはしないアブナイ部屋があるのだ。


それがココ【禁断の部屋】だ。