理恵から電話があった次の日の夜、あたしは久々に外に出た。


顔の傷もファンデーションで隠れるようになったから、久しぶりに化粧をして外に出た。


行く場所はもう決まっていた。


あたしは翼と初めて逢ったあの公園を目指し、ただ足を動かした。


1回だけやってみたかった。


翼と同じようにジャングルジムに登って、星を見てみたかったーーー。



ひたすら歩いた。


そして、公園に着いたとき、あたしは目を疑った。


そこには、たしかに翼がいた。


ベンチの上で寝転がってる翼がいた。


翼はただ上を向いてジッとしている。


こんなに寒い中ひとりで。


足がすくんで、どうしたらいいのかわからなかった。


声をかけられない自分がいた。


「……っせぇよ」


えっ……?いまなんて……?


「流奈、おせぇーよ!!」


なにも言えず、その場から動けないで、ただ涙がこぼれた。


「いつまで待たせんの?」


そう言うと翼は起き上がり、あたしのほうを振り返って、両手を広げた。


「つばさぁー!!」


あたしは思いっきり翼の胸に飛び込んだ。


「ごめんね、翼、本当にごめんね……」


翼は黙ったままだった。翼の肩は震えていた。