涙が枯れる頃。

 寒月の冷気が肌に刺さり始める、夕暮れ時だった。

 朱の光を背に、そのヒトが私の所にやってきた。

「やあ、姫森(ひめもり)さん、自殺を失敗した気分はどうだい?」