朝、一番に起きたのは俺だった。


勝手に冷蔵庫を開けて、オレンジジュースを飲む。

テレビを点けて、天気予報とニュースを見た。

ニュースは通り一遍のもので、特に死の待ち受けに触れるような話題はなかった。

当たり前か。

「あ、潤、おはよぉー」

敦子の寝ぼけた声がして、俺は視線を投げた。

「なんかニュース言ってるぅ?」

「殺人事件が東北で1件、あとS線人身事故で電車ストップだって、森先輩と山岡は?」

「先輩は家に帰るって……学校じゃ何あるか分かんないしね」

「それがいいよ。俺が送ろうか?」

「私が送るよ。潤と一緒に歩いてて森先輩に変な噂が流れても嫌だし!」

なんだよ、変な噂って……

「じゅ、潤君、おはよう」

敦子との会話に、山岡が入ってきた。

森先輩はいなかった。

「おはよ。森先輩は敦子が家に送るってさ」

「そっか、それがいいよね。今も先輩、ぼーっとしちゃって、多分……あまり熟睡できてないんだと思う」

敦子は冷蔵庫からヨーグルトを取り出して山岡に渡すと、もう1つを持って2階へ上がっていった。

「潤君……」

パンをくわえていると、山岡が隣に座った。

「ん?」

「絵里子の最後の発信、私だったでしょ?」

「あぁ、そうだよな」

「その前の発信でね……」


♪♪♪...♪....♪


急にポケットに入れていたケータイが鳴った。

山岡は死ぬほど驚いた顔で、俺のケータイを見た。