* 千景 side **




「チカちゃんチカちゃん!起きてー!おはよ!」

「………」



毎朝毎朝、俺の部屋には通り過ぎるくらい声が鳴り響く。




「もうチカちゃんってば!起きなさーい!」


お節介というか何というか、とにかく俺に世話を焼きたがる彼女は俺の2つ上の幼馴染。



俺も彼女もお互い一人っ子という事もあってか、俺が物心つく前から本当の姉弟の様に一緒にいた俺と可奈。




今でも彼女は俺を可愛い弟だと思ってるらしいが、俺は中学の頃から彼女を姉だとは思っていなかった。




「ほら、ちゃんと準備して!私もう行くからね?しっかり朝ごはん食べるんだよ?」

「………」

「チカちゃん!返事っ!」

「……ん」



ウザいくらいに俺に構ってくるのはいつものこと。



そして。


「よしよし。じゃ、行ってきまーす!」


ガキの相手をするかのように俺の頭を撫でて部屋を出て行くのもいつものことだった。