ーーー・・・・白百合学院。



休み時間に、4人は姫の机の周りで話していた。


いわゆる、女子会。


たった今、蓮華が泣いた時。



「何か、今泣き声聞こえなかった?」


「気のせいでしょ」


「そうそう。空耳ー」



何かが聞こえた、香月は3人に話をするが、軽く流される。


確かにきこえたのにな、と香月は思うが、今はもうどうでもよかった。


その理由は、姫がもちかけたあの話。



「それで、◯◯ちゃんてさー」



いわゆる、恋バナというヤツ。


今まで勉強ばかりしか、してこなかった彼女達にとって恋愛とは、そう。


宇宙のような壮大なものなのである。


特に香月は、そういうものに対しての憧れが強い。



「ふーん……//」


「そういえば、今日は色々なことがあったね……」



唐突に話題が転換するのは、女子のあるある。


香月は、若干残念さを感じつつ、姫を見つめ直した。



「まあ、あいつらは安定のウザさだけどね」



皮肉を交えてそう言うと、3人は頷く。


恋愛は、「私も……」と腕を組んだ。



「本当にひどい、嫌がらせだよね……」


「いや、どっちかというと、君は攻撃してたんだけどね…」


「そお?」



きょとんとした彼女の表情を見る限り、自覚がないのだろう。


無意識は、一番の悪……と、心の中で香月は思った。



「あーあ。彼氏欲しいー」


「それな」



恋愛の言葉に、香月と涼香が同調する。


彼女達も、年頃だ。


そろそろ、彼氏の一人や二人はほしい。


でも無理だよね……と、テンションを下げる三人。


それに対して、姫は笑顔だった。



「うん、だから私、セッティングしたよ♪」


「へぇー、そうなんだ……って、何を!?」



驚く三人の目の前に、姫は一枚のチラシをかざした。


そのタイトルは、



「花火…大会?」


「うん、来週あるじゃん?」


「あー、あの季節外れの?」



花火大会とは、この街の海沿いでやる花火大会のこと。


まだ、春という季節なのに。


何故か早すぎる、季節外れの花火大会。



「うん、だから私ね……」



姫はにっこり笑った。


そして、どこから取り出したのかクラッカーを出して。


パンッ!!



「“合コン”セッティングしましたーっ♪♪」



クラッカーが鳴り、姫の言葉を聞いて黙り込む三人。


そして、反応を少し遅れて。



「ご、合コンだとおおおおお!?///」



鼻息を荒らげて、興奮する。


姫は、内心驚きつつも、幸せそう(?)な三人の姿を見て顔をほころばせる。


涼香は、姫の机に手を付いた。



「それって、4:4すか?」


「もちのロン♪」


3「うおおお!!」



女子とは思えない野太い声で、叫ぶ三人。


それは、喜びというより、狂喜に近く。


熱狂というより、発狂というおぞましい非リアの姿だった。



「イケメンイケメンイケメン!?」


「もちのロン♪はい写真」


「ありがー・・「貸してっ!」」



受け取ろうとした恋愛の手を弾き飛ばし、姫の携帯を我が者にする香月。


そんな彼女を、恋愛は哀れんだ瞳で見つめた。


が、今の香月はそんなことはどうでもいい。



「めっちゃ、イケメンやん!」


「本当だ!///」


姫「行くよね?」



姫の問いかけに、三人は声を合わせて言った。



「もちのロン!!////」