場所は学校から近い河川敷。

状況は鬱蒼と葉を茂らせた木の影に、私とアーラと次咲くん……。



葉と葉の間から見えたのは、釣り竿を片手にした佐々原くんだ。



あれ、彼って確か自宅謹慎中だったよね?

普通は外出なんかしたら駄目だよね?

なんで佐々原くんがあそこに?



なんて模索していると、

「佐々原だ……。謹慎中に釣りって、アイツも暇を持て余してるんだね」

隣から、次咲くんがぽつりと呟いた。



佐々原くんは私達の存在にはまるで気付いていないようで、

川淵に立つと竿を振った。



アーラはそんな佐々原くんの背中を見つめながら、

「さぁ、面白いのはここからだ」

不敵な笑みを浮かべていた。



かと思うとスッと立ち上がり、その猫のように大きな瞳を光らせた。



「なっ……」

「えっ……」



次咲くんと声が重なった。

声を出すなと言われていたにも関わらず、私と次咲くんはそう言わずにはいられなかった。