とにかく、進歩だ。



俺は頭を振って、今の状態を前向きにとらえてみることに決めた。
笑顔、声。どちらも少女の心の状態を表している。


少し口をきいてくれるようになったので、夕べの質問を試してみた。



「なー、名前は?」
「なま、え?…………ひまわり?」


ガクッと脱力。
なんでやねん、て。

「それは、その花の名前だっつの…お前の名前は?」
「おまえのなまえ?」


オウム返しに訊き返してくる女の子の目を見た。まっすぐに好奇心に満ちた目は、見方によっては俺をからかっているようにも取れる。わかってるのか、ふざけているのか、それとも。


……………ホントにわかってないのか?