最初に言ったと思うけど、俺はじいちゃんとばあちゃんの残してくれた遺産で暮らしている。




思い出してみれば、俺は昔から何不自由ない暮らしをしてきていた。
彼らはなかなか裕福だったようで、東京のど真ん中、しかも駅まで徒歩5分で、その上最上階35階5LDKを、5ヶ月ローンで買った。

当然、払い終わっている。
おかげで俺は管理費と光熱費、上下水道代、それから学費と食事代さえあれば生活できる。


35階、この部屋は購入当時ばあちゃんはまだ元気で、景色を見るのが好きで。
だからじいちゃんが、眺めの良い部屋を買いたかったんだそうだ。

なかなか良い話だろ?




俺もこの家は気に入っている。


住み心地は最高だし、女の子を連れてきて、夜景を見せると喜ぶんだ。

最近は彼女……美佐っていうんだけど、がいるから、そんなことしてないですが。
いくらなんでも、彼女いる時に他の女を連れ込んだりはしません。



とにかく、部屋から見える景色は最高で。
だから、この冷たい手の少女も、きっと気に入るはずだ。


そう思っていた。