ヤヨとあれから喋ってない。


教室ですれ違ったときも、パッって目そらされたし。



テスト期間っていうのは委員の雑用もない。


ヤヨは頑張り屋さんだから、休憩時間もちゃんとテスト勉強してる。



話すタイミングないし。
ヤヨも話しかけてこないし。
ていうか。避けられてるし。



いいもん、あたしだって忙しい。




あたしは3日前から真面目に、隣の席の男子、山田に勉強教えてる。



先生から頂いた、遅刻と服装違反の罰ゲーム。


現代文を赤点しかとったことのない彼の赤点を防がないといけないんだよ。



ちょろいけどね。
41点目指してるだけだからね。



「現代文なんかどうやったら点数とれんだよ」


「国語は残念ながらセンスだよ」


「そんなん……俺絶対無理じゃん!」


「嘘、嘘。一緒にがんばろ?山田」



慰めたら、アッサリ頑張り始めた。
単純。名字くらい単純。



「わかんねぇ……」



山田は頭を抱えてる。
今日はいつもよりだらしないなぁって思ってたけど。



「わかった、山田、ボタン取れかけてるんだ」


「あ。本当だ」


「山田が胸元はだけても全然セクシーじゃない」


「ひどくね?なら直してよ」


「やだよ。いいから覚えなよ」