月曜日の午前中。

休み明けとあって、教室内の空気は若干けだるさが漂っていた。

しかも、現在の授業は数学。

数少ないであろう数学好きな生徒を除けば、ほとんどがあくびをしたりぼんやりと教科書や黒板を眺めている状態だ。

いつもなら、私もその一員に含まれるんだけど……


「つまり、ここではこの公式を使用する」


今日の私は、椎名先生に視線を注いでいた。

もちろん真面目に授業を受けてるわけじゃない。

いや、受けるべきなのはわかってる。

わかってるけど、気になってしまっているのだ。


先週の出来事が。


椎名先生の寂しそうな顔と、葛城さんの言葉。


"海嫌い"


葛城さんは確かにそう言ってた。

あと、時間が経ってることと、そろそろ踏み出してもいいんじゃないかって。


──ということは。