「隼斗さん」
ん……沙希の声がする
沙希……
「隼斗さん、起きて……」
沙希の声……
「隼斗さんに伝えなきゃならないことがあるのよ」
「私のお腹に……隼斗さんの赤ちゃんが居るのよ…だから、早く起きて……」
俺は夢を見ていたのか…
気がつくと機械音がした
ピッピッピッ……
ここは……病院?
俺は少しだるい手を動かし
枕元をさぐり
ナースコールした
俺……生きてんだな……
酸素マスクを外そうとした時
パタパタと足音がし、ドアが開いた
「瀧本さん!目を覚ましました?今、先生を呼んできます」
そう言って看護師はバタバタと居なくなり
また少し経ってからバタバタと誰かが来た
医者と看護師だ
医者の話だと
俺はやっぱり、晃に刺されて
刺されたところが悪く大量出血し
すぐに手術をしたと言う
あの事件から、すでに3ヶ月が過ぎていた
「傷は完治してますが、体力をつけるためにリハビリしましょう」
医者の話を聞いている間、気になったことがあった
『なぁ、この花はなんだ?』
病室には
綺麗な花が飾られている。