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朝の通学路。

バスから降りて、赤レンガの壁の前を数メートル歩いたところで、背中に明るい声がかかる。


「さーかーいーサン」


ギクリとしながら立ち止まる。

振り返ると、予想通り『超イケメン』がいた。

真っ白な歯が朝日を反射させ、キラリと光る。


「おはよう」

「…おはようございます」

「俺ら、一緒のバスなんだよ。知ってた?」

「知りませんでした」


短く答えて歩き出す。

コータ先輩はなぜか、無遠慮に横に並んでくる。


「酒井さん、なんか機嫌わるい?」

「いいえ。いつも通りです」

「そう? じゃ、なんか怒ってんの? あ、この前のコトとか」

「この前のコトって何でしょう。忘れちゃいました」


あたしはコータ先輩を引き離すいきおいで早歩きしてるのに、相手はちっとも離れていかない。

さすがバスケ部。

歩幅がちがう。

恭一にも前、同じようなコトを思ったような…。