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第二章「告白はゴミ捨て場の裏で」
side-稲葉圭一

  * * *


 なんで俺は、異臭のするゴミ捨て場の裏なんかで好きなヤツが告白されてるところなんかを見ているんだろう?

 かといって今更何も見なかったことにして立ち去ることも出来るわけがない。

 俺は篠塚と一緒に成り行きを見守るしかなかった。

 篠塚のキス未遂シーンもうっかり目撃してしまったし、俺はそういう星の下にでも生まれたんだろうか。


「付き合って下さい!」


 女生徒は一気に頭を下げ、俺はふられてしまえと黒い念を送る。

 俺の念が届いたはずもないが、青山は即答した。


「ごめんなさい」


 よっしゃ、とガッツポーズを決めたら、篠塚に白い眼で睨まれてしまった。

 剣道だって試合に勝ってガッツポーズをしたら失格になったりするのだと、青山と同じ剣道部の水無瀬が言っていた。

 今のは俺が悪い。

 あの女生徒の姿は俺だ。

 いや、きっと俺の方がもっと酷いふられ方をしてしまうんだろう。

 その時に知らない誰かがガッツポーズなんてしていたら、死にたいぐらい傷つくだろう。

 まあ、こんな風に盗み見されている時点でかなりトサカにくるだろうけど。


「ごめんね」


 先のごめんなさいとは違うごめんを口にする青山に、女生徒は泣きそうな目を伏せながら首を横に振る。


「いいです。わかってましたから……。先輩、誰とも付き合ってないんですよね? だったら、いいです」


 何回も瞬きを繰り返す女生徒の仕草に、青山も少し顔を伏せた。


「先輩って、好きな人いるんですか?」


 その言葉に、俺の心臓が止まりそうになる。

 青山の好きな人。

 例えいてもいなくても、青山の口からそんなことを聞きたくなかった。

 だって、俺は青山が好きだ。

 青山が少し顔を上げて口を開く。

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