由美の颯太くんに対する気持ちを聞いてから、由美はあたしに相談をするようになった。


だけど……


【今度どこかいかない? From 颯汰】


颯汰くんからよくくる、メール。なるべく返さないようにしていたけど…


あたしの心は重くなる。

そんなあたしの心を軽くしたのは、陽だった。





【最近、悩んでるよな?From 陽】


陽の気を遣ってくれているメールが嬉しかった。


【由美の好きな人知ってるよね?】


【あぁ、颯汰だろ?もしかして、絢が悩んでのは颯汰のこと?】


【うん…まぁ。】


【なんかあんなら、話せよ?相談にのるから!】



陽は、学校でもよく笑いかけてくれる。

そのたびに心が軽くなるし、暖かくなる。





「ねぇ、絢……」


「どうしたの?」


「颯汰、絢のこと好きなんだって」


「でも……あたし…」


「本当!颯汰は鈍いからムカつくよ!」




そう言って、由美は絶対にあたしを責めたりしなかった。


弱音も吐かず、ただ一途に颯汰くんを想う由美が、あたしは大好き




「絢!」


「陽?」


「こっちこっち」




手招きをしてあたしを、呼んだ陽。


珍しいなぁ

3組の派手な人が、地味な1組に来るなんて……



「なに?」


「キーホルダーあるんだけどいる?」


「……本当?」


「なんかさ……絢のこと考えてるときに目に入ったんだ」




陽はあたしの手をとって、キーホルダーを手の平に乗せてくれた。

それは白いクマのキーホルダーだった。




「絢の誕生日って4月だろ?だから誕生石のダイヤモンドの色にしてみた。……気にいらねぇ?」


「ううん。スッゴくかわいい!陽ありがとう!」




あたしが笑顔になると、陽が微笑んでくれた。

陽と出会って連絡先を交換した日、『俺、携帯2台あるんだ。友だちと家族だけこっち』といって黒のケータイをあたしに見せてくれた。


もう1台は……白色で女の子たちから持たされているプリケー。


そして陽はおもむろに黒のケータイを取り出した。





「いちおう、俺とお揃いなんだけど」





少し照れながら言った陽のケータイには、色違いの水色のクマがついていた。






「陽……本当にありがとう!」


「じゃあ、お礼ちょーだい」




そう言ってあたしの頭をぶっきらぼうに、クシャクシャっと撫でる。


頭の上からでも伝わった…。
陽の手は冷たい……