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ベットに横になって、馴染みのある天井を見つめる。



浮かんでくるのは、数時間前のことばかりだった。




「……よりにもよって田原かよ」


思わず一人ごちた自分に、苦笑する。


…田原がオレの、ライバル。


気持ちを譲るつもりはないけれど、そう考えただけでやっぱり自然と気は滅入る。


…先ほどから続く思考は螺旋状に同じ形を描くだけで、一向に晴れない心境に嫌気がさした。



─目を伏せた、丁度その時。



寝返りをうってうつ伏せぎみになった俺の耳に、
窓の外からかすかに聞こえたエンジン音。


見上げた時計は午後9時すぎ。




─親父が、帰ってきた。



俺はベットから飛び起きて、そのまま階段をかけ降りた。