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…どうしてこの世の中は好きなものだけでは生きていけないんだろう。



こんな問いかけをしたら、誰かいい答えをくれるだろうか。


そんなどうしようもないことを考えては、シャーペンの芯を出しては引っ込め、また押しては引っ込めた。



…俺は自分の手元にある紙を前に悩んでいた。



『進路希望用紙。』



三年になるともうこの時期からこういったものが書けなくてはいけないらしい。

しかしいっこうに俺の手中のシャーペンは動く様子を見せなかった。



″大学…か。″



特に就きたい仕事もなければ、興味のある学部もない。


″かといって白紙で出すのもなぁ…″



悩んだ末、結局まとまらなかった考えを放り出し、俺はベットに横になった。


俺の空っぽな頭には、多分バスケと飯と睡眠くらいの機能しか備わっていない。


ベットにその空っぽの頭と、部活で疲れた身体を沈めたまま…ため息をつく。



その時、側に置いてあった携帯が鳴った。