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星の涙

第三章 重なる偶然

体育祭の興奮がさめやらないうちに、期末試験期間に突入した。

チア部のデモンストレーションの成功で燃え尽きたのか、えれなは勉強に全然身が入らないようだった。話しかけてもぼんやりしていることもあるし、体育祭でエネルギーを使い切ったなんて言って学校を休んだりしたこともあった。

それに最近、颯太くんとえれなが話しているところを見なくなった。わたしはなるべく颯太くんに近寄らないようにしていたせいもあるだろうけど、それまでしょっちゅうじゃれあってたふたりの姿を見かけなくなった気が…。

一緒に勉強する?と、声をかけても、やる気にならないとか、疲れたとか言って、逃げ回ってばかりいる。
さすがに英語が追試になってしまったときは、いつものように泣きついてきて、一緒に図書室で猛勉強した。

「やっぱり理緒がいないとダメなんだよなー」

帰り際、そう呟くえれなの様子がいつもと違って、気になった。いままでだったら、「理緒がいてくれてよかった!」って甘えるのがえれなだったから。

「ノートくらい、いつだって貸すよ」

そう言うと、えれなはふくれた。

「理緒が優しいから、わたしは自立できない」

その言葉にわたしは思わず笑ってしまう。まるでわたしが甘やかしすぎるお母さんみたいだ。でも、えれなが次に発した言葉に、どきっとした。

「いつまでも一緒にいれるとはかぎらないじゃん」

そうだ、高校を卒業したら、さすがにわたしたちはそれぞれの道を歩くだろう。えれなは短大の推薦をねらっているし、私は国立を受験するつもりだった。

それに……その前に、颯太くんとえれなが付き合いだしたら、わたしとえれなが一緒に過ごす時間は確実に減るだろう。

わたしもそろそろ自力で光る術を身につけなくてはいけないのかもしれない。

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