「知枝里ぃぃぃ!!! マジでありがと!ホントにありがと!」


次の日。

学校に行くと、昨日のメールでも大興奮だったナッチが、目に涙を浮かべて喜んでいた。

いつもの巻き髪にプラスして、頭の右側に可愛い髪飾りをつけて。

その形は桜の花びら。


「あ、それ可愛いー、ナッチに似合ってるー」


にこりと笑って、ナッチに伝えた。

ナッチがキラキラ、輝いて見える。

好きな人って、ただ心の中にいるだけで、たくさんのパワーを与えてくれるんだ。

その距離が縮まったら、もっと凄い。

キラキラキラキラ輝かしくて、真っ直ぐには見つめられないくらい。


「それでね、あたしね、お弁当、作ってきたんだけど…っ。やっぱりちょっと重いかな?」


安堂くんには、脅さなくても、お弁当を作ってくれる人はたくさんいる。

きっとこれで、ハッピーエンド。

ナッチは数年越しの恋が実って、

安堂くんは心の傷が癒えて。

これでよかったはずなのに、あれっ?

…なんで?

なんでこんなに泣きそうなんだろう。