青葉が揺れている
図書館の裏のベンチ
君はよくそこにいた

僕がファインダー越しに
探しているものは何だろう
ベンチから見る景色
そこから見える景色
そのどこかにきっと
きっと隠されている
君の見ていた夢や未来や

君が語ったことの
半分も知らずに
僕が掴み損ねた情熱
僕が握りつぶした欲望
君はこの先も知ることはない

青葉が揺れている
あの頃と同じように
季節が巡るから
花は蕾を開き
花びらは散り
木の葉は芽吹いて

朽ちることのないものが
この世にあるとして
君の見た夢だけが

僕の脳裏に焼きついた
記憶の断片だけが

燦々と降り注ぐ陽光に
ざわめく葉陰の中に
見せては隠れるものを
僕は探し続けている