学校が終わると、駅の近くで奈央達が待ち伏せしていた。



「援交でも盗みでも何でもいいから、金作って持って来いよ」


「え……」


「え、じゃねぇんだよっ!」


頭頂部から髪を鷲掴みにされた。


「………ッ」



……逆らえば、自分の首を絞めるだけ。



近くのファミレスで時間を潰し、夜が更けるのを待つ。


「あのオヤジでいいんじゃない?」


「あれならチョロいな」


獲物を物色していた奈央達が目を付けたのは、グレーのスーツを着た中年男。


完全に酔いつぶれて電柱にもたれかかっていた。


黒いセカンドバッグは脇から滑り落ち、太ももの上に乗せられている。