蝉時雨もなくなり、季節は秋に変わろうとしていた。
暑さ寒さも彼岸までと言うが、なかなか涼しくならない。タオルもすぐびっしょりになる。


「ここの書類に判押して」


「撫子ちゃん、ここのコピー2000部ね」


「はーい、ただいま~」


秋は行事の多い季節。体育祭、文化祭、修学旅行・・・・。一般コースは北海道で進学コースはオーストラリアへ行くという。


生徒にとっては楽しい祭典かもしれないけど、生徒会の忙しさと言ったら半端じゃない。毎日のように仕事が舞い込んでくる。夜遅くまで仕事していることが多い。おかげでへとへと。
家に帰ったら即座にバタンキューだ。



「ふあーあ・・・・・・」


会長が大きなあくびをする。涙目になりながらキーボードを打ち続けている。ここ数日はあまり寝ていないらしい。度々うたた寝してしまいそうになってる。


すると、データを保存するとパソコンの電源を切ってしまった。


「俺、ちょっくら仮眠するわ」


「仮眠ですか。ずっと仕事しっぱなしでしたからね」


私は承認の判を押している最中だった。ちょうど終わるところ。


でも、会長が寝てくれたら安心だ。そうすれば、一時的に奴隷じゃなくなるし。コキ使われなくて済む。


隣が仮眠室。ドアノブを握ったから、「おやすみなさい」と言おうとした。


しかし、何故か会長が手招きしている。呼んでるから行かなければならない。一緒に仮眠室へ入る。
会長はソファーベッドに横になる。


「な、何ですか」


「俺のために子守唄を歌え」


「は!?」


「すぐに眠れそうにないから」


子守唄って、赤ん坊気取りか。私は拒んだ。このドSはニヤニヤと笑っている。歌ってくれないとここから出してくれなさそうだ。
息を思いっきり吸って、発声する。


「ね・・・・ねむ~れ~ね~むれ~♪」


会長は目を閉じ始めた。