私、早乙女もとか、15歳。今年から高校1年生になりました。


私は昔から地味な風貌をしていて、常にボサボサ頭で度の強いメガネを掛けています。もちろん、スカートは長いままです。ヤンキーって訳じゃないけど、とりあえず長いです。


そのせいか、小学校中学校と『地味子』って呼ばれた経験があります。


もう、自他認めちゃってます。自虐ネタとして扱っちゃっているのが虚しいけど、それが私なのです。


でも、この生活を変えるつもりはありません。地味な人生をずっと過ごしていこうと思っています。


高校生になってからだって、この生活は変わらない。今までそうやって過ごしてきたから。



あんな奴に会わなければ。



「今日からお前は俺の奴隷だ」


「ちょっと、冗談やめてくださいっ」


その男、私立天帝学園の生徒会長を務める超イケメン・草薙大和が迫りくる。

まるで、少女漫画に登場するような眉目秀麗。整った相貌が私の目と鼻の先にあり、心臓が耳元にあるくらいに大きく鼓動する。


私は大パニックを起こし、会長に身体を押さえられているため、身動きもとれない。


「やめてくださ……」


会長の薔薇みたいに真っ赤な口唇に目がいく。距離を置きたくても、近付くばかり。
上唇も下唇も光に反射され、怪しく艶めいた。


反応的に喉をゴクッとさせてしまった。


そして、その口唇が私の口唇に数ミリと近づいた時。



「まっ――――――――」