いつもよりも早く目覚めてしまった。というか、眠れなかった。


楽しみではなく、不安で。


まだ朝陽が昇って間もない時間。とりあえず顔を洗うことにした。


顔洗って鏡を見たとき、いつも以上に惨めに見えた。


寝ぐせだらけのボサボサ頭。これという特徴もない、平々凡々な女。目が悪いから余計にそう見えてしまう。


クローゼットから制服を取り出す。新品の臭いがぷんぷんして早くも頭がクラクラ。
どうして新品はこんな臭いを放つんだろう。新しい旅立ちのためだろうか。



今日からこの制服で3年間過ごすことになる。ブレザーで赤のチェックが入ったスカート。



着てみると、中学の頃とは変わらない地味さ。スカートも相変わらず長くする。眼鏡を掛けるとより一層地味さが増した。


「あら、もう起きたの? 早いわね」


台所に行くと、母親が朝食の支度をしていた。春休み中は昼頃まで寝ていたのだから不思議がるのも無理ないが。


「うん……。早く目が覚めたから」


いつもの席に着き、食パンをトーストにして食べる。何だか、味が感じられない。胃袋も食べ物を受け付けない。
喉に詰まったみたいで、牛乳で無理矢理流す。