窓から見える景色は、これといって良いものでもないし、悪くもない。


たまに、あきらかヅラをかぶっている校長が花に水をやる。
それをただ理由も無く眺めるのが日常になった。


言ってしまえば、退屈なのだ。


名前は前川真知子。17歳。彼氏いない暦17年。


恋した数は、失恋した数と同じ。
…あ。今のちょっと名言?


「由梨~誰かいい男の子紹介してよー」


私は後ろを振り向き、彼女を見た。
彼女の名前は中本由梨。私の親友。


「私の彼氏の友達でフリーな子いるけど」


「紹介して!!」


私は身を乗り出しすぎて、椅子から転げ落ちた。


そのせいで由梨と私の顔は近い。
今にも鼻と鼻がぶつかりそうな位だ。


「……かなり必死だね」


由梨が苦笑をし、私の肩をつかんで、自分から離した。


「えへっ」


私は手をグーにして、頭に当て、舌を出した。


「キモイよ」


由梨に真顔で言われてしまった…。


私の高校は女子高。


「女子高だから彼氏が出来ないんだよ。出逢いが無いもん」


と、私が発言すると隣の席の子が、私を見て席を立った。


「女子高でも彼氏出来るやつは出来ると思うけど?」


と、鼻で笑われた。


彼女には彼氏がいる。
いわゆる『勝ち組』。


チッキショ―――ッ!!今に見てろよ!!


スタスタと去って行く彼女の背中を睨みつけながら、私は悔しさで震えていた。


とりあえず、由梨の彼氏の友達に賭けよう。
由梨の話ではかなり変わり者らしい。


「あんたなら多分アイツを手なずけられる」


と、由梨は言った。


私は猛獣使いか。
ってゆーか、猛獣なんかと付き合いたくないんだけど……