著者初の傑作青春小説!

『空しか、見えない』
谷村 志穂/著

2013年4月10日発売
定価 1,430円(税込)

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もう一度、
大切な仲間に会いたくて――。

【写真】千葉県岩井海岸(C)南房総市 15歳の夏、臨海学校で一緒に遠泳をした8人組のバディ、“おしゃもじハッチ”。
おしゃもじは、海を泳ぐための命札だった。
10年経ったいま、突然その輪が一つ欠けてしまったことをきっかけに再会し、再び泳ぎだす。その中には、主人公・佐千子の音信不通になった昔の恋人も含まれていて…。
忘れていた何かを思い出させる、著者初の渾身の青春小説!


著者コメント
野いちごの読者の皆さん、こんにちは。『空しか、見えない』を連載をしていた、谷村志穂です。一昨年から昨年にかけて、二週間に一度15枚ずつというペースで更新しながら書き進めていった小説が、この春ついに、書籍となって書店に並びます。ぜひ、応援して下さいね。
この小説で私は、はじめて「遠泳」する仲間たちを、書きました。するというか、したというか。本当は10年前に一緒にバディを組んだ仲間たちでした。
「遠泳」と聞いて、おーっと思った方は、経験者かもしれません。「遠泳」って何? と首を傾げた方もあるでしょう。
日本は四方を海に囲まれた国です。実はいろいろな場所で、隊列を組んで、海の遠くへ向かって泳ぎだす「遠泳」の伝統があります。
はじめて私がその伝統に知ったのは、たまたま乗っていた飛行機にのせてあった機内誌の誌上でした。九州の子どもたちが、毎夏、挑戦する遠泳の様子を綴ったドキュメンタリーのページでした。真っ黒に日焼けした子どもたちの中には、胸を張った子もいれば、不安でいっぱいな様子の子もいました。私がまず感じたのは、自分なら、間違いなく、不安で一杯だろうということ。だけど、もしも何とか乗り越えられたなら、この思い出はどんな風に胸に刻まれて、将来、どんな風に思い出されていくのだろうということでした。
この小説では、千葉県房総半島の岩井海岸を舞台に、かつてバディを組んだ「おしゃもじハッチ」というメンバーたちの10年後の今をつづっています。ハッチは8名でした。その中には当然、私のような怖がりも、泳ぐのが大得意なメンバーも、いろいろあって泳ぐのを親から反対されているメンバーもいました。仲間たちは、理由あって再会し、もう一度泳ごうと決めます。
ある夏に向けての、元ハッチたちの奮闘、ぜひ書籍でも改めて手にとって、いただけたら、うれしいです。

著者紹介
【写真】谷村 志穂 谷村 志穂(たにむら しほ)
1962年10月29日北海道札幌市生まれ。
北海道大学農学部にて応用動物学を専攻し、修了。
1991年に処女小説『アクアリウムの鯨』(八曜社/角川文庫)を刊行し、自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書など幅広い分野で活躍している。
2003年、郷里の北海道を舞台に描いた『海猫』(新潮社)で第10回島清恋愛文学賞を受賞。主な著書に『結婚しないかもしれない症候群』『十四歳のエンゲージ』『余命』などがある。
最新刊は、長編小説『尋ね人』(新潮社)、『千年鈴虫』(祥伝社)、『空しか、見えない』(スターツ出版)。

オフィシャルウェッブサイト HOUSE


4月19日、八重洲ブックセンター八重洲本店にてサイン会が行われました!
当日はお店の地下フロアにまで続く大行列ができるほど、たくさんの方にお越しいただきました。谷村さんはお一人おひとりと、学生時代の部活動や作品の舞台となった南房総の話題に触れて会話を楽しみながらサインをしてくださっていました。
書籍にはそれぞれのお名前のほかに“おしゃもじハッチ”にちなんで、しゃもじのイラスト付のサインという、ファンにはたまらない特別仕様でした。老若男女、幅広いファンの方々の温かい応援のお言葉をいただき、大盛況のうちに終了いたしました。
お越しくださった皆様、ありがとうございました!!