ユキイチ マキさんの作品一覧

小さい頃に習うこと、大きくなってわかること

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青春・友情312ページ

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「あいきちゃん」 小さい頃のあたしには、どうしてもその発音がうまくできなかった。 何度やってみても、どう言ってみても、「あいちちゃん」になってしまう。 そのことをよく、保育園の男の子たちにからかわれて泣いていると、「あいちちゃん」はどこからともなく現れて、あたしを背に隠すと言ってくれた。 「まみこちゃんはとくべつなんだよ!まみこちゃんだけはあいちってよんでもいいんだよ!」 それからあたしは彼女のことを「アイチ」と呼ぶようになった。 それは「愛生(あいき)ちゃん」と言えるようになっても、19歳になった今でもずっと変えていない。
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