兎心さんのレビュー一覧
とある少年が大人になるまでを描くこの作品。 特筆すべきはそのバックボーンとピックアップの上手さだろう。 著者がこれまで書き上げた作品に登場する人物を扱いながら、それを感じさせない手腕は驚嘆の一言。 少年は何をみて、青年となり……。 青年は何を感じて大人へと成長するのか? 神の光が全てを照らす時、アナタはその永遠の物語の一瞬を垣間見る事になる。
青春・友情、そして恋愛のなかで揺れ動く少年、同時に暗躍する男達が物語を盛り上げてくれる。 描写は丁寧に描かれている。しかし、ストーリー上表現を隠す必要がある場面で特に描写の過不足が生じており、結果として分かりづらい場面が何カ所かあった。 再度読むと理解できるのだが、出来ればその文章の時点でどれだけ情報を読者に与えているかを考えながら書いて頂けると非常に読みやすくなると思う。 少し細かい事を書きましたが、SF好きの私にはかなり楽しめる作品でした。
□レビュータイトル これほどまでに完成された作品でありながら、未完成に感じられてならない。 それは何故か? 流れるように深く、強く書きなぐられた情景描写と行間が、作者の思いを容赦なく読者へと叩きつけてくる。 しかしながらその思いは、いまだ作者自身を満たす事なく、それでいて未消化なのだと感じられてならない。 だからこそ そのエスプレッソはとても苦く そのオレンジジュースはとても甘い 受け入れるだけの覚悟を持ち得るなら、活目して見よ。
徹底して最後まで貫かれる王道展開。 一風変わったタイトルを除けば、なんの変哲もないどこかで見た物語がそこにある。 欲を言えば、もう少しストーリー展開にアクセントが欲しい所。 がしかし、流れるように過ぎていく文章に流れるように浮かび上がる情景が読む手を止めさせない。 設定に凝りすぎた、未消化の作品に疲れた方に是非オススメしたい作品。
この言葉が私が贈れる最大の賛辞である事を最初に伝えておく。 所々、地の文のみで一気に展開を進めている所が見受けられた。 それは、本として読んで入れば間違いなく物足りないと感じる部分ではあるが、読み返しがしづらい携帯小説というカテゴリーの中ではストレスなく読み進めた、という点で良い方向に感じとれた。 その意味で筆者が製本化を目指しているのであれば、更なる手直しと膨らみを持たせる必要性は切に感じる。 最後に、このような小説を公開して下さった筆者に感謝すると共に、このレビューを読まれた方に『普通の小説』と言うものがどれだけ凄い物なのか?を確認する意味で読む事をお勧めする。
ここまで効果的に顔文字を使われてる作品を初めてみたかもしれない。 多くの作品が会話文の補足としか使えていないのに対して、その場面、表情、セリフを一つの顔文字で表現している。 文章構成は、硬派ではあるが、気軽に読める楽しい作品なので是非読んで欲しい
物語としては存分に楽しめる。独自の世界観を打ち出しながらも、王道の展開を用いる事で、読者を違和感なく引き込んでくれる。 もったいないのは、世界観に凝りすぎた所。 一つ一つの設定にバックボーンが垣間見えるわりには、その全体像が見えてこない。それが読者に消化不良を起こさせている。 長編の枠であれば存分に生かす事が出来るだろうが、掌編という枠の中ではもう少し余分な情報を削ぎ落として欲しかった。
構成力・展開は、流石といった所。 童話風の世界観と所々に見られるリアリティ。 その天秤はやはり難しく。 童話風の世界観に引き込まれた方は恐怖を味わう事ができるが、リアルな表現を注意深く読まれた方は、物足りなさを感じる。 掌編を描きたい方は、一見の価値がある作品である。
男性心理と女性心理。 細かな加筆修正を過不足なくつけ加える事で、より一層作品としての完成度が上がり、作品本体としては、好みの問題はあるが、誰もが充分に楽しめる作品に仕上がっている。 但し個人的な意見として、作品本体以外の部分で。 作者の思いれがあるのはわかるが、あとがきが追加された事により、加筆前程の読後感が得られず。 クドく感じたのは、一読者として伝えておく。 大幅な加筆修正お疲れ様でした。 次回作楽しみにしております。
忘れられた過去の作品へのオマージュを内包しながら、新しい作品をつくり出している。 物語は、壮大なるスペースオペラに始まり、安易なホラーへの警鐘を鳴らしながらも、ファンタジーへの扉を開き、そして愛へと帰結する。 未だかってこのような作品が存在したであろうか? まさに鬼才の名に相応しい作品である。 是非多くの人にこの世界観を味わって頂きたい!
短い頁と文字数でしっかりしたドラマを見せて頂きました。 キャラの個性も際立っており、ショートショートとしては秀逸な作品だと思います。 欲を言えば、余分な物を含まずスッキリしすぎている為に、読後感が非常に乏しく感じました。 ストレートなストーリー展開だけに、もう少し感情部分を掘り下げた方が作品の厚みが増すように感じます。
冒頭からのくだりで、かなりダークな作品になると思っていたのですが、全くそんな事はありませんでした。 重いテーマを扱っても、この方が描けばほのぼの系のゆるゆるファンタジーになります。 ご本人は心外かもしれませんが。(笑) いずれにしても、読み込ませる力に関しては、目を見張る物があります。 是非一読を! 数頁読んだと思ったら、気が付けば最終ページにたどり着いていますから。 因みにてんちょう最高でした (^O^)
切なさが感じ取れる作品 でした。 ただ私には、少し文章の書き方が読みにくく感じてしまいましたが……。 楽しく読ませて頂きました。
表題の通り、あるキーワードを元に書かれたこの作品。 とてもそんな縛りで書いたとは思えない出来映えでした。 思わず帽子を脱いでしまいました。
そう言った願いを全面的に受け止める作品。 発想と展開は、商業誌に引けを取らない物だと感じます。 結末は、途中で終わる印象を受けるので、そこまで含めた長編を読みたい! そう思わせてくれる作品です。 SFはちょっと……と言う人も是非読んで頂きたい作品です。
長編を読んで疲れた方。 毎日の忙しさに疲れた方。 ほっと一休みしていかれませんか? そんな気持ちになる作品です。 一つのメッセージを読者に伝える為に、多くの言葉はいりません。 それを教えてくれる良い作品でもあります。 遊びの文章は好きですが、無駄な文章の嫌いな私には、とても読み易く素敵な作品でした。 兎心