「現実なんて、つまらない」 それがあたしの口癖。 画面の向こう──日本のどこかに住んでいる、あたしが唯一心を許している友達の「葉月」。 葉月とゲームをしたり、話したりするのがあたしの中で1番の楽しみ。 ただ、葉月は……。 『るな、今度会おうよ！俺がるなの住んでる町まで行くからさ！』 「やっぱり元カノの連絡先消しとくべきだった。うるさすぎ」 「るなには俺だけ居ればいいの」 ──あたしが、最も苦手とするタイプの男だった。

『───山奥の神社には、ずっとずっと昔の幽霊が今も住み着いているらしい』 ──今日も、ここに人は来ない。 昔は、毎日のように沢山の人が来てくれていたというのに。 まぁ、こんなに古びた山奥の神社に、今更人が来るなんて…ありえない。 そう、思っていたのに……。 「──うぉっ、山奥の神社ってこうなってたんだな」 久しぶりに神社を訪れた人間は、 「いお、り……？」 初恋の人にそっくりで……。 山奥の神社の巫女 九条 凪(くじょう なぎ) × 学級委員を務める男子高校生 橘 悠真(たちばな ゆうま) 「ずっと、この神社を守り続けてる凪さんは……俺は凄く、かっこいいって思うよ」 「……やっぱり悠真は伊織に似てる。どことなくだけれど」 「もし、この約束を覚えていたら……明日の朝、桜の木の下に来て。──そこで、全てを話すわ」 ───これは奇跡だ。 私と彼を繋いだのは、紛れもなく、この神社なのだ──。

住む世界が違う、私と如月くん。 関わることなんて、無いと思ってのに……。 --------------------------- 学年首席の優等生。恋愛初心者な天然女子 成海 愛咲 -Narumi Aira- × 学年一のモテ男。先生も手を焼く問題児 如月 司 -Kisaragi Tsukasa- --------------------------- 「成海、愛咲……よし！じゃあなるちゃんだ！」 有無も言わさず人にあだ名を付けたり、 「なるちゃ〜ん、補習なりたくないからここ教えて？」 自分の魅力を知っててあざとくお願いしてきたり、 「何で、って……なるちゃんには、笑ってて欲しいから」 時々、すごくかっこよくなったり。 苦手なタイプの人なのに、何でこんなにときめいてるの私っ……！ 「──なるちゃん、いつになったら本気になってくれるかなぁ」

「彼方くん、今日一緒に帰ろ！」 「瑠香、ここ教えて」 「しょーうたっ、部活がんばろーね！」 「美玲ちゃん、お昼一緒にどう？」 私の好きな人には、好きな人がいました。 でも、その好きな人にも好きな人がいて。 さらに、その好きな人の好きな人は私？ 私たちの歯車は、知らないうちに動き出していたみたいです。

私には、幼なじみがいる。 幼なじみ兼婚約者、って言った方が正しいかな。 私の親と彼──翔太の親は昔から仲が良くて、その影響からか私たちは物心ついた時には婚約者になることは決まってたみたい。 でも、だからって自由が奪われてる訳じゃないの。 お母さんが、強制的に決めちゃったし結婚するまでは恋愛も自由だよって言ってくれたから、私は自由に誰かに恋することができる。 私に好きな人がいることは翔太には言ってるし、相談にも乗ってくれてるの！ 翔太は優しいし婚約者だけど、私にとっては幼なじみで友達。 だから私は、君に偽りの愛を向ける──────。 俺には幼なじみがいる。 幼なじみ兼、婚約者。 俺とそいつ──奏音の親は学生の時から仲が良かったらしく、それで俺らは幼なじみに、そして婚約者になった。 はじめは親の影響で婚約者になるなんて、少女漫画じゃあるまいし……なんて思ってた。 でも、奏音は健気で繊細で優しくて……知れば知るほど俺は奏音に惹かれていった。 でも、奏音の親が結婚するまで恋愛は自由だと俺らに言った。だから、奏音には好きな人がいる。 出来ることなら俺は、決められた婚約者としてではなく、1人の恋人として、奏音と幸せになりたい。 奏音には好きな人がいるし、幼なじみとしか見られてないことも知ってる。でも、俺は諦められない。 だから俺は、君に真実の愛を向ける──────。