「れんちゃん、いきなり男の子に話しかけられてたじゃないの。モッテモテで、ばあちゃんも心配だわあ。」
「んなおおげさな。」
恋李の母は京都で弁護士をしており、恋李は松陰市内にある母方の祖父母の家で暮らすことになっていた。
海と山が両方近く、父の故郷である天海町の景色とどこか似た風景が広がる。
この家は母が昔住んでいた場所。そして、この街は母と父が出会った場所でもあった。
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「奥本さん、俺に勉強教えてくれない?」
「どうして私なの?先生に聞けばいいじゃない。」
「だってまあ、席となりだし… 1番頭いいから。」
「そんなこと、ない。…教えるのはいいけど。」
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その夜、恋李のもとに母から電話がきた。