そこには、既に父の姿があった。さらに、同い年くらいの男の子もいた。

「左手は添えるだけ、ってよく聞くだろ?ほら、漫画とかで。まあ〜世代が違うか。とりあえず、右手の力だけでシュートしてみて?」

男の子の投げたボールは、真上に飛んで空と重なった。リングには届かなかった。


「うわっ、悔しい!もっと練習してもいいですか、師匠!」


「(父ちゃんが、師匠…?)」


「お、おう!大歓迎だよ。師匠が教えてやるからな!じゃあつぎは、膝を使って投げてみようか。まず曲げた状態、そして伸ばしながら投げるっ、と。」


父の投げたボールはリングの淵をなぞるようにして、スムーズにネットをくぐった。

「師匠のシュート、なんかすげー!!」


「だろっ?おっ、恋李おかえり!この子、友郎(ともろう)くんだって、恋李より一つ年上!一緒にバスケやろう。」


「いーよ、師匠。」


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「あいつも天海町の人だよ。んー、いいオフェンスなんだよな。」


「はい、知り合いです。友郎くんに最初にバスケを教えたのは私の父です。」