少女の大きな眼は情熱を帯びていた。


園田先生は記憶の中に、目の前の少女と同じ眼差しを見つけ出した。


「似ているね、さすが。」


彼は微笑み、安堵の息をついた。


「そう思いますか。あの、体育館に行きたいです。はやく、ここのバスケが観たい。」


「おう、行くかあ。恋李ちゃんはうちのバスケどう思うのかな?」


2人は職員室を出て、同じ階の体育館へと歩いた。


「恋李ちゃんは部活でバスケしたくないの?君が入るとやっぱ、うちの女子も喜ぶだろうし。マネージャーにとどめておくのはもったいない気がしてね。」


渡り廊下に差し掛かる時に、園田先生が言った。


「いや、そういうわけじゃないんです。ただ、男子バスケ部のほうが大事なんです。確かにプレイヤーもしたいですけどね。他にもバスケするとこはあるし。」
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だんだんと、バスケの音が聞こえてくる。ステップをふむ靴の音、ボールが床を跳ねる音、選手たちの掛け声。恋李の胸の高鳴る音も重なる。

「そうか。どっちにしろ、期待してる。どれどれ。あいつらちゃんとやってんのかなあ。」



園田先生は体育館の重苦しい扉を開けた。