「いや〜ごめん、この子もう俺らの子なんだよね。ね?恋李。」
「え… 友郎?」
二人の視線が合う。4年前最後に別れた時よりも、高低差が大きい。ずっと大人びた幼馴染の姿に、恋李は動揺した。
「なぁんだと、ずりーぞバスケ部!」
騒ぐ男子たちを背にして、友郎は恋李の手首を掴み、そのまま下の階の玄関へと降りた。
「いや〜、もうトトロ発見!って感じ!懐かしくてなんか笑けるわあ!」
二人は電停まで一緒に歩いた。
「ね!久しぶりすぎて笑える。春休み来てたっしょ?俺気づいてたからねフツーに。」
「あんた9番やろ? バレバレやで。フォームもなんも変わらんもん。」
「ハハッ、それよく注意される。てか恋李さあ、あんま背伸びなかったね。」
「お前それ言わなくてもええやろ。」
二人は電車の方向が違うので、電停で向かい合わせになって、大声で会話していた。
「さっき声かけてくれてありがとなー、ほな!」
「出た、『ほな』。またね。」
恋李は先に電車に乗った。