病気を知らされたのは今から1年前。

彼の名前は
高多 優

バカなぐらいうるさい奴だった。

『高多くん、癌なんだって』
初めは信じられなかった。
そのときはまだ優とは同じクラスだってことだけであとはなんの関係もなかったし全然興味がなかった。
私と男友達でよく病院に行ってたのが始まりだった。

「大丈夫?癌なんだよね・・・?」
彼は“本当に癌なのかな?”ってぐらい元気で明るかった。

「へ?うん!!まぁ俺だったらすぐ治せるけどなっ♪」
「ずいぶん強気だな~!!」
そういうふうに男子とじゃれ合ってる優がいつの間にか愛おしく感じるようになっていた。
別に“私、なんで優の事好きになったんだろ・・・”とかは全然思わなかった。

むしろ、尊敬できる人となっていた。
重い病気を背負ってる。
だけどいつも笑顔で明るくて元気で。

その笑顔は決して作り笑顔ではなかった。

そんな笑顔を見てると私まで笑顔になるぐらい明るい笑顔だった。
付き合ったきっかけは私から一方的に素直に『優のこと、好きなんだぁ』って言ったら彼はすぐにOKしてくれた。

癌かぁ・・・。
治るといいなぁ・・・。

ううん!!!
優ならぜっったい治せる!


でも実はちょっとだけ不安に感じていた・・・。
ちょっとだけ・・・。

好きだけど、だけどなにかが足りない。
ほぼ毎日会いに行ってる。
けど何かが足りない。