「龍ちゃん、百円返して下さいよ。」

ヨネが龍崎に言ったその一言で話が【暇】から【百円】に変わった。

「はぁ?」

どうやら龍崎は忘れている様子だ。

「はぁ?じゃないっスよ!もうかれこれ一ヶ月たってるっスよ。」

「一ヶ月も前の事なんて忘れちまったよ。」

と言って龍崎は笑っている。

「龍ちゃんが忘れても俺は覚えてるっスよ!」

と言ってヨネはポケットからミニノートを取り出し、パラパラとめくりだした。

「なにやってんだ?」

龍崎がそのノートを覗き込んだ。

「何だこれ。」

「龍ちゃんが俺から金を借りた日と、金額のメモっスよ。」

と笑顔で答えるヨネ。

「オメェ…んなもん一々メモってんじゃねぇよッ!」

と言ってヨネの頭をバシッと龍崎が叩いた。