着いた場所は海岸沿いの堤防だった。

「ここなら素直に何でも話せるだろ。」

そう言いながら堤防に腰掛ける竹ノ内。

「話す事なんてねぇっつーの。」

俺はそう言って街の方に向かって歩き始めた。

「あっそう。なら俺の話を聞け。」

と竹ノ内が言ってきた。

仕方なく俺は竹ノ内の隣に腰掛けた。

「俺はこう見えても警察だ。」

と煙草に火をつけながら竹ノ内が言った。

「知ってるよ。」

「警察ってーのは国民を守るもんだ。俺はそう思ってる。」

「あっそう。」

「だが俺はたった一人の人間すら、守る事が出来なかった…。」

と海を眺めながら竹ノ内が言った。

「あっそう。」

俺はあえてそう相槌をうった。

「俺はその時思ったよ。警察ってーのは何なのかってな。」

「あっそう。」

「警察なんて辞めて新しい事でも始めようかって思ってんだよ。」

「あっそう。」

「俺はよ『守れなかった。』なんて、もう二度と思いたくねぇし…そうなってもほしくねぇんだ。」

「…まっ、頑張ってよ。」

そう言って俺は立ち上がり街に向かった。