【龍崎仁志】
十三と俺は海岸沿いを歩いていた。
春の風と海の風、潮の香がとても心地よく混ざりあっていた。
俺達が向かっているのは桜ヶ丘高校。
桜ヶ丘高校に通っている村田和義(ムラタカズヨシ)と言う男がいる。
俺達の仲間の一人だ。
村田はツンツンヘアーに中ラン、ドカンに安全靴スタイル。
桜ヶ丘高校の屋上に行くと「チッス」と手を挙げる村田がいた。
村田が煙草に火をつけながら聞いてきた。
「オメェ達はなにしに今日は来たんだ?」
「いやぁ、また停学くらっちゃってさ〜、暇だし腹減ったし…でお前の所に来た。」
すると村田が眉間にシワを寄せながら言った。
「暇だっつーのはわかるが、腹減ったってのはどうゆう事かね?」
「だって村田金持ちじゃんッ。」
「そうそう、金持ちは俺達ビンボー人を救わなくちゃ〜いけねぇ〜ぜぇ〜。」
十三がニヤつきながら村田に言った。
「何が哀しくて、ヤロー共におごらにゃならんのじゃ。」
村田がため息混じりに言った。
「まぁまぁ、良いじゃないの〜。」
そう言うと村田は「仕方ねぇなぁ〜。」と言って屋上から出て行った。
俺達も村田に続いた。