屋上の方から声が聞こえた。
声の主は龍崎仁志・山口十三とその二人によくくっついている二年坊と一年坊だ。
授業中だというのにアイツ達は堂々と屋上でサボっていた。
龍崎達の話の内容に俺は聞き耳を立てた。
すると急に龍崎が叫んだ。
何事が起きたかと思い、少し覗いてみた。
…どうやら花見がしたかったらしい。
龍崎が今から花見をすると言ってこちらに走ってきた。
俺は急いで階段を駆け降りた。
…ま、花見ぐらい目をつぶってやるか。
階段を駆け降りながらそう思った。
…いいのかね〜、生徒指導がこんなのでよ。
職員室に戻りながらそう思っていた。
校庭を見ると龍崎が笑顔で走っていた。
龍崎に続き二年坊、山口、一年坊が龍崎と同じように笑顔で走っていた。
…昔の俺はあんな風に笑ってたのかな。
大人になると上手く笑えねぇって餓鬼の頃ずっとそう思っていた。
でも今の俺は昔より良い顔で笑ってる。
それが現実。