【尾崎 唇】


俺の名前は尾崎唇(オザキシン)。

朝日高校で生徒指導を受け持っている。

この俺が生徒指導になるなんて…夢にも思ってなかった。

昔の俺を知ってる奴は

「教師になれただけで奇跡だろ。」

と口を揃えて言う。


だいたい俺に煙草を吸ってる生徒達を注意する資格なんてあるわけない。

俺もコイツ達と同じ年の頃から吸っていた。

煙草を吸う事なんて、あの頃の俺にはなんて事ない出来事の一つにすぎなかった。





龍崎仁志・山口十三。

この二人は問題児だと他の教員達は言っている。

俺からしてみりゃあ、そう言ってる教員達の方が問題児だと思う。



だいたい、その二人がしてる事っつったら…授業をサボったり、煙草を吸ったり、他校と喧嘩したり……

とまぁ、そんな程度だ。



アイツ達が悪さをする度に教員達から【退学】と言う言葉が飛び交う。

俺はどうしても退学にはさせたくなかった…だから必死の思いで俺は校長や教頭を説得し、退学を取り消してきた。

そんな俺の努力と、俺の気持ちをあの馬鹿二人はわかってんだろうか…。

…いや、わかってねぇだろうなアイツ達は。