【少年課・竹ノ内】


その日の月は満月だった。

満月という事もあって、夜だというのにとても明るかった。



帰宅中、海岸沿いを歩いていると堤防に腰掛けている龍崎が目に入ってきた。

「綺麗な月だなぁ〜。」

そう言って龍崎の隣に腰掛けた。

「お前、海ほたるって知ってるか?」

くだらない話しを龍崎に問い掛ける。

「あぁ。」

海を見つめたまま、一言で返す龍崎。

「俺見たこと無いんだが、お前あるか?」

「…竹ノ内。」

龍崎がポツリと言った。

「何だ?」

「あのさ…この前話してた守れなかった奴は最終的にどうなったんだよ。」

と海を見つめたまま聞いてきた龍崎。

俺は事実を答えた。

すると龍崎は「…そう。」とだけ答えた。

「俺の大事な友達だった。」

「どんな奴だった?」

「笑顔が最高に素敵な奴だった。」

そう答えると龍崎は「そう。」とだけ答えた。

そしてしばらく沈黙が続いた。


「この前…俺…。」

龍崎が何か言いたそうにそう呟いた。

「どうした?」

そう聞くと龍崎は少し考え

「いやっ、なんでもねぇ。」

と微笑みながら言った。