「しかし、暇だねぇ。」

十三が伸びをしながらそう言った。

…確かに、暇だ。

「喧嘩でも吹っ掛けに行きますか?」

とタマが言ってきた。

「アホか。売られた喧嘩はいくらでも買うが、喧嘩を無駄に売るほどシャバくねぇっつの。」

と答える俺。

するとタマは「ですよねぇ〜。」と言って腕組みをして考え込んでいた。

そんな時にいきなりヨネが

「龍ちゃん、百円返して下さいよ。」

と言ってきた。

「はぁ?」

…ヨネに金を借りた記憶があるような、無いような。

「はぁ?じゃないっスよ!もうかれこれ一ヶ月たってますよ。」

…一ヶ月も前の事を今になって言ってくんじゃねぇよ!

「一ヶ月も前の事なんて忘れちまったよ。」

「龍ちゃんが忘れても俺は覚えてるっスよ!」

と言ってヨネはポケットからミニノートを取り出しパラパラとめくりだした。