【龍崎仁志】
酔っ払って寝ているヨネを家に届け俺は海岸沿いの堤防に向かった。
…家には帰りたくねぇ。
「今日の月は満月か。」
俺は一人そう呟いた。
満月という事もあって今日は夜だというのにとても明るかった。
「綺麗な月だなぁ〜。」
竹ノ内がそう言いながら現れ、俺の隣に座ってきた。
竹ノ内に会うのはお袋の誕生日の次の日以来だった。
「お前、海ほたるって知ってるか?」
と竹ノ内が問い掛けてきた。
「あぁ。」
「俺、見た事無いんだが、お前あるか?」
そんなどうでもいい話をし始める竹ノ内。
「…竹ノ内。」
俺は竹ノ内に気になっていた事を聞くことにした。
「何だ?」
「あのさ…この前、話してた守れなかった奴は最終的にどうなったんだよ。」
と俺が聞くと竹ノ内はため息を出し「死んだよ。」と少し寂しいげな表情で答えた。
「…そう。」
その衝撃的な結末と竹ノ内のそんな表情を見たのは初めてで、そんな言葉しか出てこなかった。