【キャスト】
両親:真砂・深成 生徒:お子
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
うららかに晴れた、ある日曜日。
とある小学校では、運動会が行われていた。
すでに午前の部は終わり、今はお弁当タイムだ。
この小学校では、昔ながらに見に来ている親や祖父母などと一緒に食べるスタイルであるため、そこかしこで家族の輪がお弁当を囲んでいる。
その一角。
「父様、かけっこ頑張ってくださいね!」
体操服でタコさんウインナーを齧りながら、少年が真砂に言った。
まだ着ている体操服も、そうくたびれていないこの少年は、この学校の一年生。
初めての運動会に興奮気味だ。
「任せておけ。こんなしょぼいグラウンドで行われる競技なんざ、屁でもない」
真砂は父兄参加の競技に出るのだ。
不敵に笑う真砂に、深成の膝にいた少年の妹もはしゃぐ。
「とうたま、がんばって」
妹のほうは、まだまだ言葉もたどたどしい。
が、そんな姫の頭を、真砂はぐりぐりと撫でた。
「ああ、見ておけよ。ぶっちぎりで勝ってやる」
「楽しみです〜!」
きゃいきゃいとはしゃぐ兄妹に、深成は微妙な笑みを浮かべた。
「真砂、一応小学校の催し物なんだからね」
「何だよ」
「そこまで真剣にしなくたって。一緒に走るのだって、同じ一年生のお父さんたちなんだし」
「だから何だ。同じ年頃の子供の親ということは、皆同じぐらいの歳だろう。ということは、体力だって、さして変わらん。そんな奴らに負けられるか」
「真砂の体力は、半端ないんだから。周りの空気ってものもあるし、和気あいあいと楽しんだらいいのよ」
あまりに真剣に取り組まれたら、返って恥ずかしいと深成は思うのだ。
真砂の出るのは障害物競走。
平均台や網くぐりなど、失敗してこそ面白い障害が仕掛けてある。
もちろん上手くクリアするのも見ものだが、小さい子供は大人が簡単な罠(?)に掛かって、もがく姿が面白いものだ。
コースもそう長くないので、障害に時間をかけても、さほど問題ない。
だが、少年は母をキッと見た。
「母様、そんなの駄目です。勝負事に取り組むのに、そんな気持ちでは相手にも失礼ですよ」
クソ真面目に言う。
そして、その真剣な顔を父に向ける。
「父様。父様は、あんな罠などに足を取られるかたではないと、信じております」
「とうたま〜。とうたまは、いちばんおつよいのでしょ?」
深成の膝から真砂の膝に移動し、妹のほうも真砂をノせる。
ふふん、と真砂は姫を抱き上げながら、口角を上げた。
「あったり前だろ。見てろよ」
「もぅ〜。真砂、ちょっとは空気読んでよぅ。わらわ、今後の付き合いってのもあるんだから〜」
困ったように言う深成に、姫を抱いたまま、真砂が顔を向けた。
「深成」
真剣な表情。
どきりと深成は真砂を見つめる。
新婚ほやほやでもないのに、真砂の低い声で名を呼ばれ、さらに真顔で見つめられるとどきどきする。
「お前は俺が、無様に負ける姿を見たいのか?」
反射的に、ぶんぶんと深成は首を振る。
その反応に、満足そうに鼻を鳴らすと、真砂は姫を深成に渡し、集合場所に向かった。
そして。
「父様ーっ! 頑張ってーっ!!」
「とうたまー、はやーいっ!」
平均台は一足飛び。
網くぐりは初めに払いのけた一瞬のうちにくぐり抜け、五段の跳び箱は手も付かずに空中で一回転して跳び越える。
そして最後のパン食い競争は、吊ってあるパンが一切揺れることなく、真砂も速度を落とすことなくクリア。
呆気に取られる他の父兄を尻目に、真砂、ぶっちぎりの一位。
「真砂ーっ!! 格好良いっ!!!」
初めはどこか世間体を気にしていた風な深成だが、今やすっかり、そんなことは頭から吹っ飛んでいるようだ。
己の子供より早く、真砂に飛び付く。
「見たか、俺の実力」
「うんっ! さすが真砂。格好良かったぁ〜〜っ!!」
恥ずかし気もなく抱き合う二人に、周りからは、若干引きつつも温かい拍手が送られるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
……( ̄▽ ̄)本編でお子が産まれたので、夫婦バージョン。
何か真砂も若干壊れてきたような。やばい、人気が揺らぐ( ̄▽ ̄;)アセ
お子に名前がありませんのでね、あまり出せない。本編でも名前付いてないし、ここで付けてしまったら、もっと書きたくなること請け合い。
左近にとって、名前って重要なんですよ。何か特別なんですな。仮でも付けられない。
題名もね。だから毎回悩む。
何気に真砂と深成、らぶらぶです。きっと何年経ってもらぶらぶでしょう。だからお子がしっかりするというか( ̄▽ ̄)
最近の小学校って、運動会のときでも親と一緒に弁当食べないらしいね。まぁいろんな家庭の事情があるかららしいけど、じゃあ親のお昼は……?( ̄▽ ̄;)
深成の弁当はどんなんでしょうな。タコさんとかカニさんとかが、わらわら入ってそう。
でもキャラ弁までは出来なさそう。
そしてこの障害物競走でゲットしたパン(多分あんぱん)は、深成が真砂に貰って、嬉しそうに食べるのでしょう。
2014/06/12 藤堂 左近
両親:真砂・深成 生徒:お子
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
うららかに晴れた、ある日曜日。
とある小学校では、運動会が行われていた。
すでに午前の部は終わり、今はお弁当タイムだ。
この小学校では、昔ながらに見に来ている親や祖父母などと一緒に食べるスタイルであるため、そこかしこで家族の輪がお弁当を囲んでいる。
その一角。
「父様、かけっこ頑張ってくださいね!」
体操服でタコさんウインナーを齧りながら、少年が真砂に言った。
まだ着ている体操服も、そうくたびれていないこの少年は、この学校の一年生。
初めての運動会に興奮気味だ。
「任せておけ。こんなしょぼいグラウンドで行われる競技なんざ、屁でもない」
真砂は父兄参加の競技に出るのだ。
不敵に笑う真砂に、深成の膝にいた少年の妹もはしゃぐ。
「とうたま、がんばって」
妹のほうは、まだまだ言葉もたどたどしい。
が、そんな姫の頭を、真砂はぐりぐりと撫でた。
「ああ、見ておけよ。ぶっちぎりで勝ってやる」
「楽しみです〜!」
きゃいきゃいとはしゃぐ兄妹に、深成は微妙な笑みを浮かべた。
「真砂、一応小学校の催し物なんだからね」
「何だよ」
「そこまで真剣にしなくたって。一緒に走るのだって、同じ一年生のお父さんたちなんだし」
「だから何だ。同じ年頃の子供の親ということは、皆同じぐらいの歳だろう。ということは、体力だって、さして変わらん。そんな奴らに負けられるか」
「真砂の体力は、半端ないんだから。周りの空気ってものもあるし、和気あいあいと楽しんだらいいのよ」
あまりに真剣に取り組まれたら、返って恥ずかしいと深成は思うのだ。
真砂の出るのは障害物競走。
平均台や網くぐりなど、失敗してこそ面白い障害が仕掛けてある。
もちろん上手くクリアするのも見ものだが、小さい子供は大人が簡単な罠(?)に掛かって、もがく姿が面白いものだ。
コースもそう長くないので、障害に時間をかけても、さほど問題ない。
だが、少年は母をキッと見た。
「母様、そんなの駄目です。勝負事に取り組むのに、そんな気持ちでは相手にも失礼ですよ」
クソ真面目に言う。
そして、その真剣な顔を父に向ける。
「父様。父様は、あんな罠などに足を取られるかたではないと、信じております」
「とうたま〜。とうたまは、いちばんおつよいのでしょ?」
深成の膝から真砂の膝に移動し、妹のほうも真砂をノせる。
ふふん、と真砂は姫を抱き上げながら、口角を上げた。
「あったり前だろ。見てろよ」
「もぅ〜。真砂、ちょっとは空気読んでよぅ。わらわ、今後の付き合いってのもあるんだから〜」
困ったように言う深成に、姫を抱いたまま、真砂が顔を向けた。
「深成」
真剣な表情。
どきりと深成は真砂を見つめる。
新婚ほやほやでもないのに、真砂の低い声で名を呼ばれ、さらに真顔で見つめられるとどきどきする。
「お前は俺が、無様に負ける姿を見たいのか?」
反射的に、ぶんぶんと深成は首を振る。
その反応に、満足そうに鼻を鳴らすと、真砂は姫を深成に渡し、集合場所に向かった。
そして。
「父様ーっ! 頑張ってーっ!!」
「とうたまー、はやーいっ!」
平均台は一足飛び。
網くぐりは初めに払いのけた一瞬のうちにくぐり抜け、五段の跳び箱は手も付かずに空中で一回転して跳び越える。
そして最後のパン食い競争は、吊ってあるパンが一切揺れることなく、真砂も速度を落とすことなくクリア。
呆気に取られる他の父兄を尻目に、真砂、ぶっちぎりの一位。
「真砂ーっ!! 格好良いっ!!!」
初めはどこか世間体を気にしていた風な深成だが、今やすっかり、そんなことは頭から吹っ飛んでいるようだ。
己の子供より早く、真砂に飛び付く。
「見たか、俺の実力」
「うんっ! さすが真砂。格好良かったぁ〜〜っ!!」
恥ずかし気もなく抱き合う二人に、周りからは、若干引きつつも温かい拍手が送られるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
……( ̄▽ ̄)本編でお子が産まれたので、夫婦バージョン。
何か真砂も若干壊れてきたような。やばい、人気が揺らぐ( ̄▽ ̄;)アセ
お子に名前がありませんのでね、あまり出せない。本編でも名前付いてないし、ここで付けてしまったら、もっと書きたくなること請け合い。
左近にとって、名前って重要なんですよ。何か特別なんですな。仮でも付けられない。
題名もね。だから毎回悩む。
何気に真砂と深成、らぶらぶです。きっと何年経ってもらぶらぶでしょう。だからお子がしっかりするというか( ̄▽ ̄)
最近の小学校って、運動会のときでも親と一緒に弁当食べないらしいね。まぁいろんな家庭の事情があるかららしいけど、じゃあ親のお昼は……?( ̄▽ ̄;)
深成の弁当はどんなんでしょうな。タコさんとかカニさんとかが、わらわら入ってそう。
でもキャラ弁までは出来なさそう。
そしてこの障害物競走でゲットしたパン(多分あんぱん)は、深成が真砂に貰って、嬉しそうに食べるのでしょう。
2014/06/12 藤堂 左近