昼休憩が終わって、しばらく経った頃、何かぐったり疲れて、真砂が帰ってきた。
「あっ帰ってきた」
PCの影から、ぴょこんと深成が顔を出し、とんとん、と整えた書類を持ってくる。
時刻は三時前。
PCを立ち上げながら、ぼんやりとしている真砂の横に、出来た書類をどさりと置く。
「会議だったわりには、お疲れみたい。この一つだけ部長に見て貰ったんだけど、後のはまだなんだよね。部長に回したほうがいい?」
横に立って言う深成をちらりと見上げ、真砂は手元の書類に目を落とした。
結構な量だ。
ここ数日で、大分出来るようになった。
「……頑張ったな。ほれ、社長からの褒美だ」
ずい、とミラ子社長からのチョコたこ焼きを差し出す。
途端に、ぱぁっと深成の顔が輝いた。
「うわぁ、美味しそう〜っ! 社長って、何て良い人なのっ!!」
ぱくり、とその場で一つ口に入れる。
「……美味し〜っ。あ、チョコが入ってる。この外側のダシ味とチョコの甘さが絶妙にマッチして、さすが社長だね〜」
満面の笑みで口を動かす深成を、真砂は怪訝な表情で見つめた。
ダシとチョコ……。
美味いのか……?
「課長も食べた?」
「食べる気にもならん」
「え〜、何で? 美味しいよ?」
「お前な、あんまり食い意地張るんじゃない。社長にまで知られてるぞ。お前を採用した俺が恥ずかしい」
「何でさっ。食い意地で採用されたんじゃないもんっ。課長がわらわを気に入ったんでしょっ。面接のときに食い意地が張ってるって知ってたら、採用しなかったの?」
思わず真砂は黙った。
『気に入ったから採用した』と言われたことが、何故か心に突き刺さる。
図星を指された感じだ。
誤魔化すように、真砂はチョコたこ焼きの皿を、深成に押し付けた。
「とにかくそれは、社長からお前に渡すよう言われたんだ」
「うわぁ〜い。わらわは社長にお会いすることなんてないから、お礼言っておいてね」
ばんざ〜い、ばんざ〜い、と子供のようにはしゃぐ深成を、真砂はちょっと呆れた目で見た。
そしてその真砂を、少し離れたところから、あきがじっと見ている。
---深成ちゃんたら、たまに凄いこと言うんだから。課長に気に入られただなんて。しかし課長も、結構素直よね。あそこで止まっちゃったら、認めたも同然よ。まぁそもそも、あの課長が派遣を採用すること自体が、よっぽど深成ちゃんを気に入ったってことなんだけどさ。今までなんて、ことごとく断ってきたものね---
ふふふふ、とほくそ笑むあきにも、深成は無邪気にチョコたこ焼きを勧めるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
このネタは、ちょっと前に思い付いていたのですよ。オールスター感謝祭みたいな。
それにラテ子さんリクエストの燕尾服を絡めてみました。ついでにダンスもね。
いや、社交ダンス教室はちょっと無理だったので。でもダンスでもしないと、燕尾服って着る機会がない。
あとは結婚式ぐらい? 真砂、結婚する? 誰と?( ̄▽ ̄)
パーティーってことで、一応正装させてみたものの、それだけだったらいまいち燕尾服が引き立ってないなぁ、てことで、結局ダンスをする羽目になったわけですが。
やっぱり真砂のイメージでは、ダンスよりも舞いですな。
そして何気に清五郎は、何でもそれなりにこなせるスマートな大人だったり。もしかしたら、一番王道な理想のタイプかもですよ。
えっと、チョコ入りたこ焼きの実状は、実はよくわかっておりませぬ。
ミラ子さんのとこの感想ノートで、確かチョコのときはタコは入れない、と言ってたような気がしただけで。まぁそらそうだろうね……。
ちなみに左近は猫舌なので、たこ焼きは苦手ですd( ̄  ̄)
2014/06/09 藤堂 左近
「あっ帰ってきた」
PCの影から、ぴょこんと深成が顔を出し、とんとん、と整えた書類を持ってくる。
時刻は三時前。
PCを立ち上げながら、ぼんやりとしている真砂の横に、出来た書類をどさりと置く。
「会議だったわりには、お疲れみたい。この一つだけ部長に見て貰ったんだけど、後のはまだなんだよね。部長に回したほうがいい?」
横に立って言う深成をちらりと見上げ、真砂は手元の書類に目を落とした。
結構な量だ。
ここ数日で、大分出来るようになった。
「……頑張ったな。ほれ、社長からの褒美だ」
ずい、とミラ子社長からのチョコたこ焼きを差し出す。
途端に、ぱぁっと深成の顔が輝いた。
「うわぁ、美味しそう〜っ! 社長って、何て良い人なのっ!!」
ぱくり、とその場で一つ口に入れる。
「……美味し〜っ。あ、チョコが入ってる。この外側のダシ味とチョコの甘さが絶妙にマッチして、さすが社長だね〜」
満面の笑みで口を動かす深成を、真砂は怪訝な表情で見つめた。
ダシとチョコ……。
美味いのか……?
「課長も食べた?」
「食べる気にもならん」
「え〜、何で? 美味しいよ?」
「お前な、あんまり食い意地張るんじゃない。社長にまで知られてるぞ。お前を採用した俺が恥ずかしい」
「何でさっ。食い意地で採用されたんじゃないもんっ。課長がわらわを気に入ったんでしょっ。面接のときに食い意地が張ってるって知ってたら、採用しなかったの?」
思わず真砂は黙った。
『気に入ったから採用した』と言われたことが、何故か心に突き刺さる。
図星を指された感じだ。
誤魔化すように、真砂はチョコたこ焼きの皿を、深成に押し付けた。
「とにかくそれは、社長からお前に渡すよう言われたんだ」
「うわぁ〜い。わらわは社長にお会いすることなんてないから、お礼言っておいてね」
ばんざ〜い、ばんざ〜い、と子供のようにはしゃぐ深成を、真砂はちょっと呆れた目で見た。
そしてその真砂を、少し離れたところから、あきがじっと見ている。
---深成ちゃんたら、たまに凄いこと言うんだから。課長に気に入られただなんて。しかし課長も、結構素直よね。あそこで止まっちゃったら、認めたも同然よ。まぁそもそも、あの課長が派遣を採用すること自体が、よっぽど深成ちゃんを気に入ったってことなんだけどさ。今までなんて、ことごとく断ってきたものね---
ふふふふ、とほくそ笑むあきにも、深成は無邪気にチョコたこ焼きを勧めるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
このネタは、ちょっと前に思い付いていたのですよ。オールスター感謝祭みたいな。
それにラテ子さんリクエストの燕尾服を絡めてみました。ついでにダンスもね。
いや、社交ダンス教室はちょっと無理だったので。でもダンスでもしないと、燕尾服って着る機会がない。
あとは結婚式ぐらい? 真砂、結婚する? 誰と?( ̄▽ ̄)
パーティーってことで、一応正装させてみたものの、それだけだったらいまいち燕尾服が引き立ってないなぁ、てことで、結局ダンスをする羽目になったわけですが。
やっぱり真砂のイメージでは、ダンスよりも舞いですな。
そして何気に清五郎は、何でもそれなりにこなせるスマートな大人だったり。もしかしたら、一番王道な理想のタイプかもですよ。
えっと、チョコ入りたこ焼きの実状は、実はよくわかっておりませぬ。
ミラ子さんのとこの感想ノートで、確かチョコのときはタコは入れない、と言ってたような気がしただけで。まぁそらそうだろうね……。
ちなみに左近は猫舌なので、たこ焼きは苦手ですd( ̄  ̄)
2014/06/09 藤堂 左近