「い、いやでも……。ここは深成ちゃんの家のはずで……」
「ていうか~、放してよぅ~。真砂ぉ~、寂しかったよぉ~~」
くらくらしている六郎に気付くこともなく、深成がじたじた暴れる。
「ったく、俺がいないところで、そんなに飲むんじゃねぇよ」
「だって何か、飲まないわけにはいかない雰囲気だったんだもん。でも六郎さんが、お水いっぱい入れたりして誤魔化してくれたから、まだマシなんだよ。あ、そうだ。六郎さん、ありがとう~」
思い出したように、深成が六郎を見上げて、ぺこりと頭を下げる。
「……まぁ、きちんと面倒も見てくれたようだしな」
真砂にとっての『面倒を見る』というのは『悪い虫から守る』ということだ。
それはきちんとこなしてくれた。
この飲み会でも最後まで深成を守り通してくれたようだし、と、真砂は息をついた。
真砂がいるところでは、六郎だって強烈なお邪魔虫なだけだが、真砂のいないところとなると、これほど守り役に適した者はいないのだ。
深成を守るためには周囲の目を憚らないし、思考は若干(?)ヤバめだが、手を出すことはまずない。
そうはいっても、やはり根本にあるのは恋愛感情なので、どうしても面白くないところもあるのだが。
「ご苦労だったな」
真砂に言われ、六郎はちょっと驚いた。
まさか真砂に礼を言われるとは。
「あ、い、いえ」
思わぬ出来事に六郎が動揺した隙に、真砂は深成を引っ張って引き寄せた。
先程とは違い、深成は自ら真砂に抱きついていく。
「じゃあな」
深成とドアの向こうに消えようとする真砂に、はた、と六郎が我に返った。
「あ、あのっ! いや、あの、ここはあなたの家なのですか?」
「そうだが」
「いやでも、深成ちゃんは……」
「こいつの家もここだ」
ぽかーん、と六郎が阿呆面を曝す。
真砂に抱きついたままの深成が、あ、と六郎を振り返った。
「これ、内緒ね」
口の前で人差し指を立て、深成が言う。
そしてにこりと笑うと手を振り、すぐに甘えるように真砂に擦り寄る。
「真砂~。もぅ、飲み会でも全然相手してくれなかったし、寂しかったんだから~」
「だったら早くに帰ってこいよ。なかなか帰って来ないから、俺だって心配してたんだからな。連絡もないし」
何だからぶらぶな会話を残し、六郎の鼻先で、ばたんとドアは閉められた。
続いて、がちゃん、と駄目押しの施錠の音。
まるで六郎には決して越えられない柵に頑丈な鍵がかけられたような気になり、ふらふらと六郎はエレベーターホールに戻るのだった。
「おい、遅すぎだぞ。しかもこんなに酔っ払って」
リビングまで深成を連れて行った真砂が、ソファに座りながら言う。
「わらわも早く帰りたかったけど。ていうか、二次会、何で真砂も来てくれなかったの」
「こっちは早々に捨吉が断っちまったからな。お前も門限がある、とか言って、さっさと切り上げれば良かったのに」
「わらわの門限って?」
ちょっと面白そうに、深成が真砂を覗き込んだ。
「他の男との飲み会では八時だな」
「早! それ、参加出来ないよ」
「そんなもんに行くなってことだ」
言いつつ、真砂は深成に顔を寄せた。
「門限破りだから、お仕置きだな」
「えっ、そんなの、事前に言って貰わないとっ」
わたわたと慌てる深成の両手首を片手で掴み、真砂はそのまま、深成の頭上に持ち上げた。
「いたたっ。ちょ、真砂、力緩めて……」
「駄目だ。お仕置きなんだから」
両腕を頭上で拘束された状態で、ソファに押し倒される。
乱暴に唇を奪われ、真砂の空いた片手が着ていたワンピースを捲り上げる。
「んんっ……」
酔いのせいかキスのせいか、はたまた乱暴な愛撫のせいか。
深成がくらくらしているうちに、下着が外される。
「……っやだっ。お風呂も入ってないのにっ」
「遅いお前が悪い」
身体を捩って抵抗する深成を押さえつけつつ愛撫していた真砂だが、ちらりと時計を見ると、むくりと身体を起こした。
そして着ていたTシャツを脱ぐ。
びく、と深成が小さくなった。
「確かにやってから風呂に入ってたら遅くなるな。いいだろう、風呂入っておいで」
「あ、う、うん」
ほ、と乱れた服を直しながら廊下に出た深成だが、一足早く真砂が、パジャマの置いてある寝室のドアを、とん、と押さえた。
「ただし、入ってそのまま上がってこい」
「……えっ」
「下着も禁止だ」
「は、裸ってこと?」
「そう」
にやりと笑い、真砂は寝室に入った。
着ていたTシャツを脱いだのはそういう意味か、と赤くなりながら、深成は仕方なく、手ぶらで脱衣所に入るのだった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
真砂嫉妬編。
いやでも結構いつでも嫉妬してますよ。独占欲強いですからね( ̄▽ ̄)
今回は己の見えないところで深成が男にモテまくるという、深成溺愛の真砂にとっては耐え難い状況に陥っております。
会社絡みじゃなかったらどうなってたことやら。
相手方全員血みどろの大惨事かもです。
真砂は深成と離せば離すほど欲望が高まるようで、行為も乱暴になるようです。
苛々してるからでしょうねぇ。
その分いつもは鳴りを潜めている(?)ドSっぷりが顕著になる。
そして今回珍しく六郎との対決はなかったですが(ちょっとは真砂も大人になったのだろうか)、直で言われなくても雰囲気で結局落とされる六郎って。
この後深成はどんなお仕置きを受けるのでしょうね~( ̄▽ ̄)
2017/02/02 藤堂 左近
「ていうか~、放してよぅ~。真砂ぉ~、寂しかったよぉ~~」
くらくらしている六郎に気付くこともなく、深成がじたじた暴れる。
「ったく、俺がいないところで、そんなに飲むんじゃねぇよ」
「だって何か、飲まないわけにはいかない雰囲気だったんだもん。でも六郎さんが、お水いっぱい入れたりして誤魔化してくれたから、まだマシなんだよ。あ、そうだ。六郎さん、ありがとう~」
思い出したように、深成が六郎を見上げて、ぺこりと頭を下げる。
「……まぁ、きちんと面倒も見てくれたようだしな」
真砂にとっての『面倒を見る』というのは『悪い虫から守る』ということだ。
それはきちんとこなしてくれた。
この飲み会でも最後まで深成を守り通してくれたようだし、と、真砂は息をついた。
真砂がいるところでは、六郎だって強烈なお邪魔虫なだけだが、真砂のいないところとなると、これほど守り役に適した者はいないのだ。
深成を守るためには周囲の目を憚らないし、思考は若干(?)ヤバめだが、手を出すことはまずない。
そうはいっても、やはり根本にあるのは恋愛感情なので、どうしても面白くないところもあるのだが。
「ご苦労だったな」
真砂に言われ、六郎はちょっと驚いた。
まさか真砂に礼を言われるとは。
「あ、い、いえ」
思わぬ出来事に六郎が動揺した隙に、真砂は深成を引っ張って引き寄せた。
先程とは違い、深成は自ら真砂に抱きついていく。
「じゃあな」
深成とドアの向こうに消えようとする真砂に、はた、と六郎が我に返った。
「あ、あのっ! いや、あの、ここはあなたの家なのですか?」
「そうだが」
「いやでも、深成ちゃんは……」
「こいつの家もここだ」
ぽかーん、と六郎が阿呆面を曝す。
真砂に抱きついたままの深成が、あ、と六郎を振り返った。
「これ、内緒ね」
口の前で人差し指を立て、深成が言う。
そしてにこりと笑うと手を振り、すぐに甘えるように真砂に擦り寄る。
「真砂~。もぅ、飲み会でも全然相手してくれなかったし、寂しかったんだから~」
「だったら早くに帰ってこいよ。なかなか帰って来ないから、俺だって心配してたんだからな。連絡もないし」
何だからぶらぶな会話を残し、六郎の鼻先で、ばたんとドアは閉められた。
続いて、がちゃん、と駄目押しの施錠の音。
まるで六郎には決して越えられない柵に頑丈な鍵がかけられたような気になり、ふらふらと六郎はエレベーターホールに戻るのだった。
「おい、遅すぎだぞ。しかもこんなに酔っ払って」
リビングまで深成を連れて行った真砂が、ソファに座りながら言う。
「わらわも早く帰りたかったけど。ていうか、二次会、何で真砂も来てくれなかったの」
「こっちは早々に捨吉が断っちまったからな。お前も門限がある、とか言って、さっさと切り上げれば良かったのに」
「わらわの門限って?」
ちょっと面白そうに、深成が真砂を覗き込んだ。
「他の男との飲み会では八時だな」
「早! それ、参加出来ないよ」
「そんなもんに行くなってことだ」
言いつつ、真砂は深成に顔を寄せた。
「門限破りだから、お仕置きだな」
「えっ、そんなの、事前に言って貰わないとっ」
わたわたと慌てる深成の両手首を片手で掴み、真砂はそのまま、深成の頭上に持ち上げた。
「いたたっ。ちょ、真砂、力緩めて……」
「駄目だ。お仕置きなんだから」
両腕を頭上で拘束された状態で、ソファに押し倒される。
乱暴に唇を奪われ、真砂の空いた片手が着ていたワンピースを捲り上げる。
「んんっ……」
酔いのせいかキスのせいか、はたまた乱暴な愛撫のせいか。
深成がくらくらしているうちに、下着が外される。
「……っやだっ。お風呂も入ってないのにっ」
「遅いお前が悪い」
身体を捩って抵抗する深成を押さえつけつつ愛撫していた真砂だが、ちらりと時計を見ると、むくりと身体を起こした。
そして着ていたTシャツを脱ぐ。
びく、と深成が小さくなった。
「確かにやってから風呂に入ってたら遅くなるな。いいだろう、風呂入っておいで」
「あ、う、うん」
ほ、と乱れた服を直しながら廊下に出た深成だが、一足早く真砂が、パジャマの置いてある寝室のドアを、とん、と押さえた。
「ただし、入ってそのまま上がってこい」
「……えっ」
「下着も禁止だ」
「は、裸ってこと?」
「そう」
にやりと笑い、真砂は寝室に入った。
着ていたTシャツを脱いだのはそういう意味か、と赤くなりながら、深成は仕方なく、手ぶらで脱衣所に入るのだった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
真砂嫉妬編。
いやでも結構いつでも嫉妬してますよ。独占欲強いですからね( ̄▽ ̄)
今回は己の見えないところで深成が男にモテまくるという、深成溺愛の真砂にとっては耐え難い状況に陥っております。
会社絡みじゃなかったらどうなってたことやら。
相手方全員血みどろの大惨事かもです。
真砂は深成と離せば離すほど欲望が高まるようで、行為も乱暴になるようです。
苛々してるからでしょうねぇ。
その分いつもは鳴りを潜めている(?)ドSっぷりが顕著になる。
そして今回珍しく六郎との対決はなかったですが(ちょっとは真砂も大人になったのだろうか)、直で言われなくても雰囲気で結局落とされる六郎って。
この後深成はどんなお仕置きを受けるのでしょうね~( ̄▽ ̄)
2017/02/02 藤堂 左近