【キャスト】
将軍:真砂 側用人:清五郎
中臈:あき・深成・千代・ゆい
深成の兄:捨吉
※『とある大奥での夜事情』の続編です※
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
その日もあきは、脇息に寄りかかって、うつらうつらしていた。
「ちょっとあき。大丈夫なの?」
同僚のゆいが声をかける。
「毎晩毎晩、大変ねぇ。身体もたないんじゃないの?」
「大丈夫よ」
ふるふると頭を振りつつ、あきが言う。
ここのところずっと、あきは将軍の寝間の不寝番を務めている。
通常こんな連続して上様がお渡りになることはないのだが、かれこれ十日になるだろうか。
「それにしても、凄いわねぇ。あの子」
ずい、とゆいが、膝を進めて声を落とす。
「来た初日から、ずっと上様のお相手をしてるじゃない」
「そりゃあねぇ。初めから上様はそのおつもりで、わざわざ召し上げられたんだし」
この十日間、真砂はずっと一人の女子に執着している。
真砂自ら、野駆けで見初めたというその女子は、真砂のお声掛かりで十日前に大奥に上がり、以来ずっと閨を独占しているのだ。
「あの上様を、そこまで夢中にさせるなんて。見た目はいかにも子供だけど、閨が凄かったりするわけ?」
にやにやと、ゆいがあきに迫る。
将軍の寝間の不寝番は、閨のすぐ傍に控える。
間には御簾があるし、背を向ける決まりだが、会話や情事の物音は筒抜けだ。
「ふふっ。それは口外出来ません」
目尻を下げて、あきはゆいを遮った。
そして再び、脇息にもたれかかる。
---ああ眠い。さすがに十日間ぶっ続けで不寝番を務めると疲れるわ。まぁ、全く寝られないわけじゃないからマシだけど---
二人が寝てしまえば、あきだって寝られるのだ。
ただやはり、普通に寝るときよりは時間は短い。
それに、会話を聞いて記憶しておかねばならないので、それだけでも結構疲れる。
あきの場合は、会話や物音によってあれこれ妄想するので、さらに疲れるともいえるのだが。
---でもこんな楽しいお役目を、誰かに奪われるわけにはいかないもの---
うふふふ、と含み笑いする。
---何と言っても、やっと上様、あの子を抱けたんだものね---
真砂が所望して大奥に召された深成だが、なかなか伽の相手は出来なかったのだ。
来たその日に、身体中真っ赤に腫れ上がるほど、古参のお中臈・千代に磨き上げられ、その傷が治るのに時間を要した。
将軍:真砂 側用人:清五郎
中臈:あき・深成・千代・ゆい
深成の兄:捨吉
※『とある大奥での夜事情』の続編です※
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
その日もあきは、脇息に寄りかかって、うつらうつらしていた。
「ちょっとあき。大丈夫なの?」
同僚のゆいが声をかける。
「毎晩毎晩、大変ねぇ。身体もたないんじゃないの?」
「大丈夫よ」
ふるふると頭を振りつつ、あきが言う。
ここのところずっと、あきは将軍の寝間の不寝番を務めている。
通常こんな連続して上様がお渡りになることはないのだが、かれこれ十日になるだろうか。
「それにしても、凄いわねぇ。あの子」
ずい、とゆいが、膝を進めて声を落とす。
「来た初日から、ずっと上様のお相手をしてるじゃない」
「そりゃあねぇ。初めから上様はそのおつもりで、わざわざ召し上げられたんだし」
この十日間、真砂はずっと一人の女子に執着している。
真砂自ら、野駆けで見初めたというその女子は、真砂のお声掛かりで十日前に大奥に上がり、以来ずっと閨を独占しているのだ。
「あの上様を、そこまで夢中にさせるなんて。見た目はいかにも子供だけど、閨が凄かったりするわけ?」
にやにやと、ゆいがあきに迫る。
将軍の寝間の不寝番は、閨のすぐ傍に控える。
間には御簾があるし、背を向ける決まりだが、会話や情事の物音は筒抜けだ。
「ふふっ。それは口外出来ません」
目尻を下げて、あきはゆいを遮った。
そして再び、脇息にもたれかかる。
---ああ眠い。さすがに十日間ぶっ続けで不寝番を務めると疲れるわ。まぁ、全く寝られないわけじゃないからマシだけど---
二人が寝てしまえば、あきだって寝られるのだ。
ただやはり、普通に寝るときよりは時間は短い。
それに、会話を聞いて記憶しておかねばならないので、それだけでも結構疲れる。
あきの場合は、会話や物音によってあれこれ妄想するので、さらに疲れるともいえるのだが。
---でもこんな楽しいお役目を、誰かに奪われるわけにはいかないもの---
うふふふ、と含み笑いする。
---何と言っても、やっと上様、あの子を抱けたんだものね---
真砂が所望して大奥に召された深成だが、なかなか伽の相手は出来なかったのだ。
来たその日に、身体中真っ赤に腫れ上がるほど、古参のお中臈・千代に磨き上げられ、その傷が治るのに時間を要した。