そして納会自体が終わりに近づき、人数も少なくなってきた頃、清五郎がやってきた。

「真砂。これから忘年会に行かないか?」

「……構わないが」

 言いつつ、ちら、と深成を見る。
 まだ仕事は終わりそうにない。

「派遣ちゃんは、まだお仕事か。ま、派遣ちゃんを置き去りには出来んよな」

「どこに行くんだ? 終わったら行くさ」

「前行った、和食の店に予約を入れておいた。刺身が絶品だぜ。お前さんも、一緒に連れてきてもらえ」

 ぽやんと見上げる深成に言い、その横の千代を見る。

「お千代さんは? もう出られるのか?」

「わたくしは、まぁ……。出ようと思えば出られますけど」

 千代がしているのは、深成のフォローだけなので、別にいつやめてもいいわけだ。

「でも、あまりに残ってると可哀想ですし」

「そうか。まぁ、あとはそれだけなのだろ?」

 ひょい、と深成の机を見、清五郎は時計に目をやった。

「じゃあお千代さんも、七時に出よう。捨吉とあきちゃんと、ちょうど四人だから、タクシーで行こうぜ。真砂は後から来いよ」

 そう言って、清五郎は去って行った。

「千代ぉ。ごめんねぇ」

 かたかたとキーボードを打ちながら、深成が千代に言う。

「構わないさ。大体私が手伝わなかったら、もっともっとかかってただろ? あんたが遅くなったら、課長もその分遅くなるしね」

「うん。頑張る」

 それからしばらく、二人は真剣にPCと向かい合った。