【キャスト】
保育士:深成・六郎 園児:真砂・捨吉・あき
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
「今日は雨だから、皆お部屋で遊ぼうね~」
しとしとと雨の降りしきるある日。
保育園では子供たちが元気に走り回っている。
小さな保育園なので、人数もそう多くない。
大体三歳から五歳ぐらいの子供が、部屋の中で思い思いに遊んでいる。
その部屋の隅では、一人の男の子が絵本を読んでいた。
「まさごくん、あそぼうよ~」
他の子が誘っても、顔も上げない。
皆暇を持て余して駆け回っているのに、真砂だけは、ずっと隅に座り込んでいる。
「じゃあ皆、お部屋の中でかくれんぼしようか。ほら、真砂くんも」
六郎が皆を集め、真砂にも声をかけるが、真砂はちらりと顔を上げただけで、また絵本に視線を落とした。
「どうしたんだい? お腹でも痛い?」
六郎が近づき、真砂の前に屈み込んだ。
ふるふる、と真砂が首を振る。
一応返事はするが、依然目は絵本に落としたまま。
一緒に遊ぶ気はないようだ。
「駄目だよ、ちょっとは皆と遊ばないと。君、いっつも一人じゃないか」
六郎が、よしよし、と真砂の頭を撫でた。
が、その途端。
真砂が、ぎっと六郎を睨み付けた。
そのあまりの鋭い視線に、思わず六郎は手を引っ込める。
まだ五つの子供とは思えないほどの、相手を射るような目だ。
「六郎先生、どうしたの?」
はっと我に返れば、同じく保育士の深成が、ててて、と駆け寄ってきていた。
その後に、わらわらと子供たちが引っ付いてくる。
深成は子供に大人気だ。
深成自身が幼いのか、子供たちと変わらず一緒になって楽しそうに遊んでいる。
今も鬼ごっこで遊んでいた捨吉を追いかけがてら、六郎に声をかけたのだ。
「あれ真砂くん。どうしたの、遊ばない?」
ぴょこん、と真砂の前に座り込む。
すると深成が追いかけていた捨吉も、てて、と戻ってきた。
「みなりちゃんせんせい、おにだから、にげないとつかまっちゃうよ~」
言うなり真砂の手を引いて走り出す。
しぶしぶ、というように、真砂は絵本を抱えたまま、捨吉に引っ張られて駆けていった。
保育士:深成・六郎 園児:真砂・捨吉・あき
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「今日は雨だから、皆お部屋で遊ぼうね~」
しとしとと雨の降りしきるある日。
保育園では子供たちが元気に走り回っている。
小さな保育園なので、人数もそう多くない。
大体三歳から五歳ぐらいの子供が、部屋の中で思い思いに遊んでいる。
その部屋の隅では、一人の男の子が絵本を読んでいた。
「まさごくん、あそぼうよ~」
他の子が誘っても、顔も上げない。
皆暇を持て余して駆け回っているのに、真砂だけは、ずっと隅に座り込んでいる。
「じゃあ皆、お部屋の中でかくれんぼしようか。ほら、真砂くんも」
六郎が皆を集め、真砂にも声をかけるが、真砂はちらりと顔を上げただけで、また絵本に視線を落とした。
「どうしたんだい? お腹でも痛い?」
六郎が近づき、真砂の前に屈み込んだ。
ふるふる、と真砂が首を振る。
一応返事はするが、依然目は絵本に落としたまま。
一緒に遊ぶ気はないようだ。
「駄目だよ、ちょっとは皆と遊ばないと。君、いっつも一人じゃないか」
六郎が、よしよし、と真砂の頭を撫でた。
が、その途端。
真砂が、ぎっと六郎を睨み付けた。
そのあまりの鋭い視線に、思わず六郎は手を引っ込める。
まだ五つの子供とは思えないほどの、相手を射るような目だ。
「六郎先生、どうしたの?」
はっと我に返れば、同じく保育士の深成が、ててて、と駆け寄ってきていた。
その後に、わらわらと子供たちが引っ付いてくる。
深成は子供に大人気だ。
深成自身が幼いのか、子供たちと変わらず一緒になって楽しそうに遊んでいる。
今も鬼ごっこで遊んでいた捨吉を追いかけがてら、六郎に声をかけたのだ。
「あれ真砂くん。どうしたの、遊ばない?」
ぴょこん、と真砂の前に座り込む。
すると深成が追いかけていた捨吉も、てて、と戻ってきた。
「みなりちゃんせんせい、おにだから、にげないとつかまっちゃうよ~」
言うなり真砂の手を引いて走り出す。
しぶしぶ、というように、真砂は絵本を抱えたまま、捨吉に引っ張られて駆けていった。