「そ、そんなことはない!」
いきなり声を上げ、六郎は、ぶんぶんと頭を振った。
「深成ちゃんは、まだそこまで奴のことを想っているわけではない! あの幼い深成ちゃんが、そんな色気づくようなことは、そうそうないはずだ!」
……一体深成はいくつなんだ。
いろんな方面からの冷静な突っ込みを聞かないように否定し、六郎は、がば、と顔を上げた。
「諦められないとか、まだそういう段階ではない! そうだ、まだそこまで思い詰めることはないのだ! 幸い深成ちゃんの電話番号も手に入れたことだし、これからどんどん、私からプッシュすればいいではないか!」
テーブルに手をついて身を乗り出す六郎に、千之助は引きつつも、慌ててこくこくと頷いた。
「お、おう。その意気さね。女子っちゃあ、押せば落ちるもんだぜ」
いい加減なことを言い、千之助は、ぽん、と六郎の肩を叩く。
入ってきたときとは打って変わって、六郎は晴れやかな表情になると、大きく頷いて頭を下げた。
「ありがとう! あなたの言うとおりだ! いや、何かすっきりした。さすがは妖幻堂だ。感謝する!」
ぶんぶんと千之助の手を握り、じゃっ! と爽やかに手を上げ、六郎は踵を返す。
千之助が呆気に取られている間に、足取り軽く出て行ってしまった。
「……旦さん。支払い、いいんかい?」
しばし六郎の出て行った後を見送っていた千之助に、狐姫が声をかける。
あ、と小さく声を上げ、千之助は、ぽりぽりと頭を掻いた。
「……しゃあねぇ。久々に面白いモン頂こうと思ったが、まぁいいさ」
どさ、と椅子にかけ、煙管を咥える。
「俺ぁ何も言っちゃいねぇ。あいつがてめぇで、進むべき道を見つけたんだ。それで報酬を要求すんのぁ、お門違いだろ」
「もぅ旦さん、いい人なんだから」
ごろごろ、と、狐姫が甘える。
ふ、と紫煙を吐き出し、千之助は、ちょっと面白そうに、六郎の出て行った後に目をやった。
「けどあいつの今後、面白そうだな。どうなるかねぇ」
ふふふ、と、千之助は狐姫と一緒に、若干意地の悪い含み笑いをするのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
ちらっと出た、『六郎、妖幻堂に恋の相談に行く』の巻き。
相談っつっても、千之助の言うように、六郎は己で進むべき道を見つけたわけですが。
……と言うと格好良いかもですが、実際は勝手に暴走した、とも言える( ̄▽ ̄)
プッシュとはいっても、はたして六郎に、そんなことが出来るのか? 何気に内気なくせにさ〜。
しかも今回、何かあきちゃんにキャラが被っております。なかなか六郎も、想像が逞しいようで。
さぁシェアハウスに、また一波乱ありか?
2014/06/26 藤堂 左近
いきなり声を上げ、六郎は、ぶんぶんと頭を振った。
「深成ちゃんは、まだそこまで奴のことを想っているわけではない! あの幼い深成ちゃんが、そんな色気づくようなことは、そうそうないはずだ!」
……一体深成はいくつなんだ。
いろんな方面からの冷静な突っ込みを聞かないように否定し、六郎は、がば、と顔を上げた。
「諦められないとか、まだそういう段階ではない! そうだ、まだそこまで思い詰めることはないのだ! 幸い深成ちゃんの電話番号も手に入れたことだし、これからどんどん、私からプッシュすればいいではないか!」
テーブルに手をついて身を乗り出す六郎に、千之助は引きつつも、慌ててこくこくと頷いた。
「お、おう。その意気さね。女子っちゃあ、押せば落ちるもんだぜ」
いい加減なことを言い、千之助は、ぽん、と六郎の肩を叩く。
入ってきたときとは打って変わって、六郎は晴れやかな表情になると、大きく頷いて頭を下げた。
「ありがとう! あなたの言うとおりだ! いや、何かすっきりした。さすがは妖幻堂だ。感謝する!」
ぶんぶんと千之助の手を握り、じゃっ! と爽やかに手を上げ、六郎は踵を返す。
千之助が呆気に取られている間に、足取り軽く出て行ってしまった。
「……旦さん。支払い、いいんかい?」
しばし六郎の出て行った後を見送っていた千之助に、狐姫が声をかける。
あ、と小さく声を上げ、千之助は、ぽりぽりと頭を掻いた。
「……しゃあねぇ。久々に面白いモン頂こうと思ったが、まぁいいさ」
どさ、と椅子にかけ、煙管を咥える。
「俺ぁ何も言っちゃいねぇ。あいつがてめぇで、進むべき道を見つけたんだ。それで報酬を要求すんのぁ、お門違いだろ」
「もぅ旦さん、いい人なんだから」
ごろごろ、と、狐姫が甘える。
ふ、と紫煙を吐き出し、千之助は、ちょっと面白そうに、六郎の出て行った後に目をやった。
「けどあいつの今後、面白そうだな。どうなるかねぇ」
ふふふ、と、千之助は狐姫と一緒に、若干意地の悪い含み笑いをするのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
ちらっと出た、『六郎、妖幻堂に恋の相談に行く』の巻き。
相談っつっても、千之助の言うように、六郎は己で進むべき道を見つけたわけですが。
……と言うと格好良いかもですが、実際は勝手に暴走した、とも言える( ̄▽ ̄)
プッシュとはいっても、はたして六郎に、そんなことが出来るのか? 何気に内気なくせにさ〜。
しかも今回、何かあきちゃんにキャラが被っております。なかなか六郎も、想像が逞しいようで。
さぁシェアハウスに、また一波乱ありか?
2014/06/26 藤堂 左近